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少子化という見えない波

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少子化という見えない波

木枯らし1号が吹き荒れて、いよいよ秋も深まる

11月の声をきくと、我々賃貸住宅業界では繁忙期のスタートとなります。当社でも2018年春の入居成約獲得を目指すべく、商品企画や集客活動が本格モードへと入ったところです。
エリアナンバーワンを自負する企業として今回もきちんと責任を果たしていきたいと意気込んでいるところですが、それでもやはり十数年前と比べると我々を取り巻く環境は大きく変わってきていて、企業活動が少しずつ窮屈になってきていると感じる今日この頃です。

少子化

その背景にあるのは、言うまでもなく少子化と人口減です。
この影響が今年ははっきりと肌で感じるようになってきており、たとえば新入社員の募集活動などに変化が出るようになりました。新卒者向けの採用情報を発信しても、かつてのように十分な数の人材が集まってこず、さらに内定を出しても学生が辞退する割合いが増えてきました。当社に限らずどの企業も採用計画が立てられず、困ったことになってきているようなのです。
これを景気が好調に推移しているせいと捉える向きもありますが、平成元年には200万人以上いた新卒者が、今では116万人に減っている(総務省統計局)のですから、少子化が大きく陰を落としていることは明白です。
そこに人口減が加わって、さらに厳しい状況になってきているのが不動産業界です。
都心、駅前などに代表される一部のエリアに熱い視線が集まる一方で、全体の大部分を占めるその他の地域は疲弊し続けています。地価は横ばい状態が続き、賃貸住宅は借り手がなかなか見つからず、打つ手を求めて業界全体が腕組みする状況が続いています。
これは、人口が増えないにもかかわらず、新築マンションが増え、戸建て住宅が開発され、賃貸住宅が新築されるなど、過度な供給が続いているからで、この状況が続けば一部エリア以外はさらに過疎化が進んでいくことは目に見えています。
人口の変化に伴って住宅の供給数を統制していくという試みは、先進国ではどの国でも行っていることなのですが、わが国ではこの分野は野放しのままで、新しい住宅が次々と提供されていきます。その結果、企業も不動産オーナーも苦しい状況にさらされていきます。いまこそ何らかの手を打って、この悪循環にストップをかける政策を政府にお願いしたいところです。

これらの状況の打開策としてあちこちで駅前再開発などのプロジェクトが立ち上がり、自治体を中心にした動きが盛んになっています。我々が中心的に企業活動を行っている神奈川県央エリアでもその流れは同じで、私などもプロジェクトメンバーに名を連ねて活動したりしているのですが、これを推進していっても駅前のその場所だけが活気を帯びるだけで、街全体のボトムアップにはなかなかつながっていかず、かえってエリアのなかでの集中化が進むだけという事態に入ってきています。
少子化と人口減がのっぴきならないところまで来ていることの証といえるのではないでしょうか。

ふたつの波

このふたつの波が来ることは、もう随分前からわかっていたはずです。それが社会に深刻な影響を落とすことも、充分理解していたはずです。
わかっていながら、砂上の砦を築くことで日々を暮らしていて、気がつけばもう波がそこまで来て、足元の砂はゆるんできています。築いた砦でさえも存続が危うくなってきて、青ざめた顔で呆然と眺めている。それが、いまの私たちの姿ではないでしょうか。
そんな状況のなかでもなんとか力強く生き抜いていくために、提案力や企画力、推進力を磨いてきたつもりの当社ですが、地域全体や社会全体が盛り上がっていかないことには、企業として存在する意義が薄れてしまうような気がしてなりません。
明るい未来を描くために、将来を担う世代のために、いまこそ我々がさらに考えなければならない時期に来ているとつくづく思うのです。

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