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株式会社西田コーポレーションNISHIDA BLOG「増える低所得者層、荒れる社会」の構図を断つには

「増える低所得者層、荒れる社会」の構図を断つには

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「増える低所得者層、荒れる社会」の構図を断つには

 新しい年も一ヶ月が過ぎ、暦は如月へと移りました。

 今日などは珍しく大雪という天候で、春の暖かい陽射しが待ち遠しく感じられるのですが、政治の分野では二年目を迎えたアベノミクスを軌道に乗せるのに必死になっている様子が伺えます。政府が願うのは被雇用者の所得アップで、これがない限り持続的な経済の成長は見込めないということなのですが、それに対する各企業の反応はいまひとつ。先行きに確信が持てないため、ボーナスアップはあっても基本給を上げるところまではいかないというのが本音のようです。

 

 そんな折りも折り、大手食品メーカーの子会社で発生した冷凍食品農薬混入事件の犯人逮捕が報道されました。そんなことがなければいいがと危惧していたのですが、蓋を開けてみると容疑者は内部の人間。私は経営者のひとりとして、肝の冷える思いがしました。

 契約社員としてこの会社で働いていた容疑者は、給与待遇が変わって生活が苦しくなってしまったことに憤って犯行に及んだとのことですが、どんな理由があるにせよ、自らの生活の糧を得る大切な職場で、企業の生命線を断ち切るような行為に及んだことはとてもショッキングでした。経営の根幹を揺るがす恐ろしい事件で、ここまで人の心は荒んできているのかとしばらく考え込んでしまったほどです。

 

 この事件にからんで思い出されるのは、新春に開催された不動産関連セミナーで提示された国内状況データの数々です。まず、人口推移については2010年に13000万人いた人口は、その30年後(2040年)には1700万人に減少すると予測されています。これは随分前から指摘されていたことなので、憂うべきことではあっても驚くには値しません。私が衝撃を受けたのは、1994年と2012年とを比べた所得金額階級別世帯状況のデータです。厚生労働省が発表している「国民生活基礎調査」によれば、約20年前と比較して年収500万円以上の中・高所得者層の世帯数が軒並み減少していることがわかります。それに対して増加しているのは年収500万円以下の世帯。この増加は半端なものではなく、年収300万円以下の低所得者層世帯を例にとってグラフを読み取ると、20年前に全体の約23%だったこの世帯層が、2012年には33%を占めるようになっていることがわかります。これに呼応するように「生涯未婚率」はウナギ登りに増えて、1985年には男女とも5%以下であったのが、2010年には男性20%、女性11%に増加。2035年には男性28%、女性19%が結婚をしないだろうという予測も出ています。

 ここから見えてくるのは、低所得であるために結婚もしない、子どもも持たない若者の姿です。これでは、社会は荒んでいきモラルは低下して、社会不安が広がってしまいます。

 では、この負のスパイラルを断ち切るためにはどうしたらいいのか。やはり、ここは経済活動を行っている企業側が責任を持つべきなのではと私は思います。ひとつひとつの企業が、仕事のなかの付加価値を高めて、高い利益を得ていくように努力するべきと考えます。そうして、被雇用者にとって将来計画の立ちやすい雇用関係を結んでいくこと。このふたつが、悪い流れを食い止めるための最良の方法だと思います。

 

 仕事の付加価値を高めていくこと。言葉で表わすのは簡単なのですが、これは実に難しい課題です。

 でも、このことによって大きく社会に貢献していくことを信じて、一心に挑んでいきたいと思います。

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