わが社の「めざせ甲子園」

不動産業界では、年末から4月までが繁忙期と言われています。
この期間は数多くのお客様が店に訪れて新しい住まいを探される一方で、住み慣れた部屋から新しい生活を目指して出ていく方も多くいらっしゃいます。大急ぎで部屋の原状回復工事を行い、新しいお客様をご案内してと、各部署では猫の手も借りたい忙しさとなります。
東奔西走するスタッフは大変だと思いますが、実は私もこの季節はハラハラしながら毎日を過ごします。特に心配しているのが、「忙しさのなかで疲れ切ってしまう人がいるのではないか」「困っている人を周りのスタッフがフォローをしてくれているだろうか」ということで、入社後初めて繁忙期を経験する一年生社員は、とりわけ気がかりです。
私は野球少年だったせいか、今でも自分の会社のことを野球のチーム
に例えることが多くあります。それもプロ野球ではなく、甲子園をめざす高校野球のチームです。
高校野球では、まず地区大会で優勝することを目標とします。エリア
No.1のチームとなり、地区の代表となることを目指すのです。
主に神奈川県の県央エリアで活動しているわれわれも、目指すところはエリアNo.1です。地域でもっとも優れた企業となることを目標としている点では、まさに高校野球と似ています。
野球の世界では、天才と呼ばれるようなプレーヤーが1人いるだけでは勝負には勝てません。9人が、いえ部員全員が足並み揃えてレベルアップを図り、勝負に挑んでいかなければ勝ち抜いていくことはできないのです。ヒットを打ったら、畳みかけるように次の人が安打を出してランナーを前に送る。飛んで来た打球をサードがはじいてしまったら、ショートやレフトがすかさずフォローする。そのように全員が力をあわせ、足りないところは補い合ってこそ一戦一戦を勝ち抜いていけるのです。われわれの仕事も、これとまったく同じだと思っています。
わずかなやり手スーパー社員だけが活躍するだけの企業では、だめだと思うのです。全員でレベルアップしていく企業であってこそ、エリアNo.1になれるのです。つまり、困っている人、苦戦している人がいたら、周りから手を差し伸べて、お互いにフォローしあえる姿勢を一人一人が身につけていけば、地域で信頼される企業に成長していくと思うのです。弊社のスタッフには、一人のプレーヤーで終わって欲しくはありません。周りを気遣い、足りないところには自らすすんで手を貸し、全体に貢献することで「一人前」になれると思うのです。
そんな支えあいや、カバーしあう高校野球のチームプレーの動きが、わが社にとっては大切なことだと考えています。
さて、エリアNo.1を目指すわれわれですが、地区の代表に選ばれただけでは満足しません。毎年毎年、そして10年先もエリアNo.1を保ち続けなければ存在意義はありません。高校野球でいうところの強豪校、常連校とならなければならないと考えています。
強豪校、常連校といわれるところは選手の層も厚いのですが、将来を見据えた後輩の育成にも力を注いでいて、1年生選手を上手に指導していく姿勢を持ち合わせているものです。
われわれも彼らに習って、1年生社員を長い目で手厚く育てていかなければと思っています。毎春入社する新入社員を手塩にかけて育てあげる環境を大切にしたい。1年生は未来のレギュラーメンバーなのです。1年生が大きく育っていくためには、周りがサポートしながら1年生の視
点から仕事を考える必要があります。先輩たちのようには動けないのが
当たり前…球拾い、ランニング、地道ですがキツイ基礎体力作りなどからコツコツと根気よくレベルを上げていくしかないのです。
そんなことを考えているうちに、今年も桜の季節がやってきました。
4月1日には、新入社員6名を迎え入れます。最初はキャッチボールさえままならなかった選手たちが、やがてポジションを任されるようになり大活躍するのは何年後でしょうか。その成長ぶりをハラハラしながら、しかし表向きはベンチに静かに座る監督のような顔で、様子を見ていきたいと思います。