「ゴルフの集い」のこと

今年も日本人からノーベル賞の受賞者が誕生しました。これは本当に嬉しいことで、晴れ晴れしいこの話題はわれわれに勇気と希望を与えてくれます。このニュースのなかで私が驚いたのは、医学生理学賞受賞の大村智氏のことです。氏の功績はもちろん特筆に値する素晴らしいものなのですが、その一方でなんと御歳80歳にしてゴルフの腕前がハンディキャップ5であるとのこと。すごい方がいらっしゃるものだと舌を巻いてしまった次第です。
ゴルフは私も少々たしなみ、もう30年ほどのキャリアを持つ身なのですが、実のところをいうと若い頃はゴルフがさほど好きではなかったものです。立場上、銀行の方々などとのコンペに出なければならないことも多かったのですが、なにしろゴルフは時間がかかります。ゴルフコンペの予定が入ると、その日はほとんど仕事ができず夕刻になってやっと会社に戻るという事態となります。青い空をバックにキャディーさんの「ナイスショッ」などという声を聞きながら、心のなかで会社に思いを馳せて、こんなことをしているよりも仕事をしているほうがずっと有益だ、などと思っていたものです。バブル期になるとさらに事態は深刻になり、昼はゴルフ、夜はお酒と、お付き合いに忙殺される日々に、もっと実務をこなしたいのにと焦りを募らせることがよくありました。しかしバブル崩壊後は夜のお付き合いが減り、これで腰を据えてしっかり仕事ができると内心ほっとしたものでした。
さて、そんな時期を経て50歳になった頃から、私のなかで変化が訪れるようになりました。なんと、ゴルフも悪くはないかなと思えるようになってきたのです。この変化は何なのだろうと私は考えます。原因を探るに、ひとつは我が社の社員たちが各分野で成長してくれて、私がやきもきしなくても業務が円滑に進んでいくことになったことが挙げられます。一日中、ゴルフに集中できるようになったのは、がんばってくれている社員のおかげと言えそうです。感謝しなくてはならないところです。
もうひとつは、お客様や取引先の方々とゴルフをすることのメリットが見えてきたと思えることにあるようです。はるかに広がるグリーンの上を、思い通りに飛ばぬボールを叩いているなかでそれぞれの素の部分と触れ合うことができて、それが信頼へとつながり仕事の上でも良い効果を与えていくことに気がついたからなのです。ですから、この頃では大手を振ってゴルフへと出かけていきます。遊びのなかから次の仕事へとつながる何かが生まれてくることを確信しているからです。ゴルフは人生に素晴らしいプラスアルファを与えてくれる、本当に素敵なスポーツだと思います。
そんな素晴らしいゴルフにあやかりたいという思いもあって、当社でもお客様とのゴルフの集いを年に一度開催しています。お付き合いのあるオーナー様などから希望者を募ってのコンペとなるのですが、当社の社員たちはお客様をもてなす側なのでほんの少しのメンバーしかプレーには参加しません。でも、裏方としてあれやこれやと頭をひねってくれます。これが参加された方には好評で、私はちょっと自慢したいほどなのです。たとえば、プレーが終わると表彰式となるのですが、トップ賞、ブービー賞、ニアピン賞、さらにはベストドレッサー賞などが発表されます。この賞品が面白いのです。昨年ニアピン賞の賞品はお蕎麦でした。ピンの「そば」まで寄せたから、というわけです。
そんな楽しいゴルフの集いが、今年も11月に開催されます。今年も楽しいイベントとなることを、今から楽しみにしています。