ブログ

NISHIDA
BLOG

災い転じて智恵と成す

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
災い転じて智恵と成す
 3月は別れと旅立ちの季節です。ところが今年はあちこちの学校で卒業式が縮小されたり、延期または中止になったりと、学生の皆さんには気の毒な事態となっています。これはこれまでに経験のない沙汰で、この異常事態の引き金になっているのが、言わずと知れた新型コロナウイルスの流行です。
 中国は武漢発とされている新型コロナウイルスですが、国内にウイルスをできるだけ入れまいという水際対策は不成功に終わり、もはや罹患者がどこから感染したのかわからないという市中感染の状況となって、かなりの日数が経ってしまいました。毎日のように感染者数が更新されていますが、実際には症状が出ていない感染者が数千人はいるのではないかという説もあり、迫りつつある危機からすぐそばにある脅威へと変わってきています。
 そんな中でも満員電車に乗って通勤し、マスクをしながら他社を訪問し、ランチの店では見知らぬ誰かと肩寄せ合いながら食事をし、また過密電車に乗って帰宅するという生活を余儀なくされているわれわれ都市生活者。つくづく濃厚接触リスクの高い生活を送っているのだということに思い至ります。この状況にあって、ドラッグストアにマスクはなく、消毒のためのアルコール製品も品切れということになっていて、我々は一体どうやってこの状況を乗り切ればいいんだろうと天を仰ぐ気持ちです。

いま何より重要なこと

 コロナウイルス対策は企業にとっても、目下の最優先課題になっています。社内でウイルスが蔓延し多くのスタッフが体調不良となって会社の機能が不全となってしまったら…。また、お客様を相手としている企業であれば、こちらからお客様にウイルスを移してしまうようなことがあったら…。そんな事態となったら、経営の根本から揺らいでしまいます。
 自社のことで恐縮ですが、我々もそのようなことがあってはならないと、できる限りの手を尽くして日々を過ごしています。まずは、供給が追いついていないマスクを求めてあちらこちらに問い合わせ、除菌関連の商品を多方面から取り寄せて準備を整え、お客様が来店される営業店ではマスクと手洗い、カウンター周りの除菌を徹底。会議の席も、全員マスク着用を義務づけて、なるべく短時間で終わるように努力しています。その上で、発熱があった場合は躊躇することなく自宅待機を行ってもらう。なんとしても自社から感染の輪を広げないという決意を胸に、戦々恐々とした毎日となっています。


問われるリスクマネジメント

 そんな折りも折り、マスクを求めて東奔西走している我々とは対照的に、慌てることなく泰然と仕事を続けている企業がありました。私としては驚きを隠せず思わず尋ねてみると、なんとこの時を予測していたかのようにマスクを常日頃から備蓄していたとのことで、慌てる必要はないのだという涼しい回答。これには感心してしまいました。

 リスクに備える必要性がよく口にされていますが、実際に危機が発生したこんな時にその質というのが明白になるのだなと考えた次第です。もっと多角的に様々なリスクを、まさかこんなことはと思うところまで想定して、日頃の備えを徹底しなければならないということを肝に銘じました。


いま災いが教えてくれるもの

 思えば、このような災難時には、思いもかけなかった色々なことに気づかされます。あんなに微細なウイルスによって命を落とす人が出てきて、医学が進みテクノロジーが高度化しても、なんと人間というのは弱いものなのだろうと改めて感じ入ります。そうして、このような危機の際には、個人を超えて国民みんなが力を合わせなければ、社会はうまくいかないのだということにも気づかされました。

 一人一人が自分を守ることを考えながら、同時に社会に対する気配りをきちんと行わなければ、良い方向には向かわない。当たり前なのですが、そういうことも身に染みて感じるようになりました。今回の新型コロナウイルス、感染してしまった方には気の毒ですが、なんと沢山のことを学ばせてもらっているのだろうと考えさせられました。

試されているみんなの力

 さて、そのみなさんの意識と努力が試されるようになったこの局面で、日本人はなんとかこの試練を乗り越えていくのではないかと私は思っています。数々の自然災害に見舞われ、その中で互いを思いやり、いたわり合い、励まし合ってきた私達です。右へ習え、で協調性を重視し、各人の個性や独自性に乏しいと揶揄される国民性は、このような危機の際には同じ方向を向いて一致団結して立ち向かっていくような気がしています。1400年も前から「和をもって貴(とうと)し」とする憲法のもとに暮らしてきた私達です。ウイルス感染をできる限り小さく押さえ込みながら、東京オリンピックの開幕を喜べる未来が待っていることを信じています。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加