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NISHIDA
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サムライたちの我慢

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サムライたちの我慢

 1年が巡り巡って、ゴールデンウィークがやってきました。なのに、社会の状況は1年前とほとんど変わらず、3回目の緊急事態宣言にため息をつく5月の始まりになっています。
 東京オリンピックを控えて、このままではどうなってしまうのだろうと考え込んでしまいます。この先が見えない状況にあって私たちの業務の面では、お客様が賃貸借契約書にサインをしたいものの、いつ頃から出社できるのかわからない、オンライン授業がいつまで続くのか目途が立たない…などの理由で、お客様が決めるに決められず業務が進まない状態が続いているのです。
 誰に文句を言うわけにもいかず、文句を言うにはすでに疲れ果てていて…と、気分が沈む日々が続いています。


世界を制するトーナメント

 そんな暗く、長いトンネルに入ったままの世の中で、先月末に明るいニュースが飛び込んできました。「マスターズ」で日本人として初めて優勝を果たした松山英樹選手に、「内閣総理大臣顕彰」が贈られることになった…というものです。
 そこで改めて、4月上旬に開催された今年のマスターズ・トーナメントのことを思い返しました。マスターズは世界4大ゴルフトーナメント大会のひとつで、ジョージア州のオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブを舞台に、毎年春に開催されます。マスターズ(名手)というだけあって、世界各地の賞金ランキング上位者や、メジャータイトルの優勝者など限られた選手しか出場できないのはご存じの通りです。さらに、他のトーナメントがスポンサー企業を要して、会場を毎年変えていくなかで、この大会だけは一般市民がスポンサーとなり、このコースのみで開催することになっています。つまり、大会の賞金は入場者のフィーを原資としているため、この大会を見に来る観客はギャラリーではなくパトロンと呼ばれています。また、このゴルフコースは一般プレーを不可とし、1年に一度だけこの大会だけに使うというのですから、このトーナメントの特別さがうかがい知れます。


日本人の持つ精神力

 説明が長くなりましたが、このマスターズは80年の歴史の間に数多くの日本選手が出場したのに、優勝にはどうしても手が届かないとされてきました。ここで栄冠を手にするには、立ちはだかる壁があまりにも高過ぎる、と言われてきたのです。

 今回も、4打差のトップで松山選手が最終日を迎えたものの、じりじりと追い上げられて、このまま果たして逃げ切れるのだろうかとハラハラしました。少しもミスができないというなかでパターを握る松山選手の緊張感やいかなるものだろうと、手に汗握りながら見守ったものでした。そうして迎えた最終ホールで優勝に輝いた瞬間には、とうとう日本人もここまでやったのかと感慨ひとしおでした。ですが、こちらの興奮をよそに、本人はあくまでも忍耐強く、集中力を維持したままで泰然とプレーを続け、優勝を決めたときには、ガッツポーズをするでもなく、冷静な面持ちのままで帽子を取りました。それは実に日本人的な態度で、私は感銘を受けてしまいました。同時にこれこそ日本人の強さだと思いました。常に沈着冷静に、己(おのれ)を律して闘いに挑む。これは、まさに武士道精神そのものではありませんか。



前向きに耐えること

 そういえば、口数少なく笑い顔もあまり見せない松山選手には、どことなくサムライの雰囲気が漂います。このスピリットで、ストイックに練習を積み重ね、努力をしてきたからこその優勝なのでしょう。
 今の厳しい状況のなかで、日本人としての誇りと感動を与えてくれた松山選手に、改めてありがとうを言いたいと思います。私たちも現代のサムライとして、今は耐えて歯を食いしばるときなのでしょう…彼のように。

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