まだ見ぬ未来に夢を描く

蝉取りに海水浴、祖父母宅への里返り…子どもの頃は夏というとウキウキしたものです。ところが今では夏の声を耳にすると、大変だなという思いが真っ先に出てきてしまいます。炎天下を歩くと、少しの距離でももうくらくらしてきます。
相変わらず続いているマスク生活のせいかもしれませんが、桁違いの蒸し暑さが続き、年々夏が長く苦しくなっている。そんな思いを抱く人は多いように思います。
去る7月8日、元首相が帰らぬ人となりました。あまりにも突然の出来事で、しばらくは大きな喪失感に陥ってしまいました。
平和ニッポンの盲点
ニュースを耳にして最初に頭に浮かんだのは、この国の危機管理意識の低さです。
要人が至近距離で襲撃されたという事実に啞然としてしまいました。平和な国とは何なのでしょう。いま世界で起こっていることとのあまりの落差に、改めて驚いてしまいます。
どこかおかしいのではないか、何か時代錯誤が起きているのではないかと、大変な違和感を覚えたものです。
容疑者は親が新興宗教に傾倒するあまり家庭が崩壊したとのことで、その宗教団体と繋がりがあったと思われる元首相を狙ったとされています。これをきっかけに新興宗教の問題が一斉にマスコミで取り上げられることになりました。
それにしても、誰にどんな形で恨まれるかわからない政治家という職業。そんな大変な役割を担っている人たちが、どのような場面でもきちんと守られなければ社会不安が増大してしまいます。
外交とリーダーシップ
さて、いかに重要な人物を失ってしまったか、いざ亡くなってみてはっきりとわかりました。
日本の損失であり、世界の損失と言ってもいいほどの人物でした。
「世界を俯瞰する外交」を展開して全世界にその顔と名前を覚えられ、他国のトップらと互角に渡り合える政治家など、今後この国から出てくるのでしょうか。
一方で、強力なリーダーシップで経済政策を牽引し、観光立国としての道を拓き…と、その功績には多大なものがありました。日本は実に大きな柱を失ってしまったようです。
夜明け前の暗さのなかで
いま、ロシアのウクライナ侵攻で世界は揺れています。
このような事が起きてしまうのは、強大なリーダーが世界からいなくなっているからだとの指摘があります。その隙をついて、このような暴挙に訴える国が出てくると言われています。
また我が国の状況に目を移すと、GDPランキングではかろうじて世界3位につけているものの、いつの間にか一人当たりのGDPでは第28位と大幅な転落に陥っています。さらに個人所得ランキングでは13位と、先進国のなかでも下位に甘んじるようになっています。
このような状況のなかで、これからの日本を誰がどうやって導いてくれるのか。目まぐるしく変わる世界情勢のなかで、どのように平和と繁栄の道を切り拓いていってくれるのか。
コロナという全世界に波及した大きな禍害が終わった後には、まったく違う世界が生まれている、とはよく言われます。
民主主義やグローバリズム、経済重視などという従来からの価値観に代わる何かが台頭してきて、世の中は別の方向に舵を取るのではないかとも予測されています。
この禍害が収束した後の世界は見通せませんが、新しいリーダーや新しい価値観が誕生し、あのときあんなに心配したが結局良い方向へと進んだ、長く生きていて良かった、と思える日が来ることを信じています。