潜在力を活かす
5月末から早くも梅雨だろうかと疑うばかりの雨が続いています。
今年の春闘では大手企業の満額回答が続き、多くの企業の給与ベースアップが報じられました。さらに輸出関連の企業は過去最高益を記録して、久しぶりの明るい話題に気持ちも晴れやかになりました。
不動産の分野も好調で、インフレ傾向を背景に都内の新築マンション(もちろんすべて億ションです)は、いまのうちに入手をと考えるカップルを中心に順調な売れ行きを見せています。
この一見右上がりに見える経済状況ですが、中小企業へと目を向けるとこの余波がまったく届いていず、物価高もあって低迷から抜け出せないでいる、との厳しい現実について銀行の方からお聞きしたところです。
これまでも指摘されてきた二極化がさらに進み、富める者は富み、貧しき者はさらに貧しくなるという好ましくない状況に陥りつつあます。
静かに充足している社会
この極端な二極化の状況は社会経済活動としては末期に当たるらしく、かつてオランダもイギリスも同様の状態に陥ったと聞きます。
戦後、世界に冠たる経済大国として長らく栄光の道を歩んできた日本も、同じように萎んでいくのだろうかと考えてしまいます。
そう思いながら世間を見回すと、誰もがさほど悲観することなく暮らしているさまが目に留まります。かといって、ああしたいこうしたいという欲がうごめいているという風でもなく、なんだか平穏なような物足りないような、おかしな雰囲気です。
絶望しているのでもなく、かといってやる気に満ちているわけでもなく、新型コロナウイルスも落ち着いてきたというのに、これから社会はどのように変わっていくのでしょう。
受け手の身になった計画
そんななか相続をテーマにしたセミナーに参加しました。
講師の方は日本でも指折りの著名な税理士の先生なのですが、相続は独りよがりで計画してはならない、相続人となる家族を見て考えてプランを立てるべきとの持論を展開されました。
合言葉は「明るく楽しく元気で現金」とのことで、相続を受けることが予測される配偶者や子どもたちは、わけありの不動産などは欲しくない、欲しいのはズバリ自由に使える現金である、と解説されて一同の強いうなずきや深いため息を集めました。
受け手の身になった相続対策というのは当たり前のことなのですが、はやり不動産をめぐる意識は合理的でサバサバしてきていることを再認識したのは、私だけではなかったはずです。
働くパワーに変える工夫
その不動産をめぐって皆さまのお役に立ちたいと日々頭に体に汗をかいているわれわれなのですが、仕事の現場で嬉しい動きが重なって目を細めることが続きました。
出産子育てで職場を離れていたスタッフが産休を終えて戻ってきてくれるシーンが増え、久しぶりの元気な様子に安堵するとともに、即戦力が帰ってきてくれた心強さに二度目の安堵をするという状況が続きました。
これは実にありがたいことで、いったん離れていた人が戻ってくることは、われわれの仕事の現場がどんな状況でも長く働き続けることができる環境であることの証明となります。
経験を積んだスタッフが再び加わると、仕事の流れに勢いが加わります。積み上げたノウハウを会社は活用することができ、本人もこれまでに体得した能力を十分に発揮することができます。
もちろん、フルタイム勤務でなくとも時短で働いたりパートとして在籍したりと自分に合ったスタイルで働くことができ、家庭と子育てと仕事とを両立していく姿は、後輩たちへの素晴らしいお手本となります。
持っている潜在力や生活スタイル、将来への希望…いろんなものを働くパワーに変えて、それぞれが自己を実現して生き生きと暮らしていくことができれば、萎みゆく懸念を内包した社会が、逆に拡大方向へと変わっていくかもしれません。