海老名・厚木・伊勢原・秦野神奈川県央エリアの公示地価から、市況と今後の動きを考察します!
海老名・厚木・伊勢原・秦野神奈川県央エリアの公示地価から、市況と今後の動きを考察します!
海老名、本厚木、伊勢原など再開発が進行中の神奈川県央エリア。これまでのニュースオンではエリアごとに分けて各地域の動向をお伝えしてきました。今回は県央エリア全体の市況を見ながら、収益物件の取引状況や価格の変動状況について紹介します。また、将来的にどの物件を選べばよいかという判断材料としての情報もご紹介していきます。
県央エリアの公示地価の状況
●海老名~秦野の観光客
2024年5月の訪日客数は304万人だったそうです。これは前年同月比で60.1%です。最も観光客が多いのは秦野市の415万人(年間)です。丹沢や弘法山の観光客が多いですが、たばこ祭りも35万人以上の観光客がくるそうです。次に多いのが厚木市の248万人、伊勢原市の170万人と続き、海老名市は28万人でした。
本厚木駅近くと伊勢原駅近くの公示地価が前年比大幅アップ
それぞれ前年比10%以上のアップとなっております。伊勢原駅前と本厚木駅前の共通は駅前の再開発事業が進んでいるという点です。
マンションラッシュの海老名と厚木
駅徒歩圏に2020年以降、厚木市は10棟合計891戸、海老名市は7棟合計2,054戸の分譲マンションが供給されております。さすがに供給過剰で値崩れしてしまうのではないかと思いきや、中古市場では新築価格より高い金額で取引されている事例もあります。
秦野駅と渋沢駅の地価公示
海老名駅~伊勢原駅は駅前や周辺の再開発事業で地価公示の上昇が顕著ですが、鶴巻温泉駅以西の地価公示は住宅地での上昇が目立ちます。また秦野市では堀山下の工業専用地域が令和元年以降毎年上昇してます。
収益物件取引が多いのは厚木市
2024年に取引のあった収益物件は、レインズや各種のデータをみると、地域では厚木市内が多く、次が秦野市で、さらに伊勢原市、海老名市、と続きます。ただ数を見ていくと、昨年の同時期と比べてどの市も成約数が半分以下に減っています。もちろん水面下で成約している物件もあるので実際は、もっと数は多いはずですが、成約が減っている反面、販売物件は増加傾向にあります。値段が上がり過ぎて売れづらくなっているのかもしれません。売れている物件の特徴は、利回りが高い、積算価格が高い、駅に近い、といった特徴のいずれかを備えている物件、という印象です。
融資動向
収益物件購入時に融資を利用する方は、半々くらい。ただ、借り入れする場合も、自己資金として物件価格の2割前後は自己資金を出すケースが多いようです。傾向としては、有名な地方銀行から借りる方は、法人、資産家の方。一方で、会社員の投資家の方は、ノンバンクで借り入れをする方が多いです。地方銀行は、物件の耐用年数に厳しく、木造アパートで築20年を超えていると借入期間はほとんど延ばせませんが、ノンバンクでは20年以上の期間で借りることも出来てしまいます。ただし、金利が4%前後と高めなので、ある程度は自己資金を出さないと収支が合いません。結局は現金を持っている方が強い、という状況がずっと続いています。
伊勢原市に新駅が出来る?
昨年、伊勢原市と小田急電鉄で協定が締結されました。その協定の中で、伊勢原市内に新たな総合車両所の建設とスマート新駅を検討するという表現がありました。新駅を設置する、と明言されているわけではありませんが、総合車両所は2033年までに移転する予定で進められています。総合車両所は鈴川工業地区のすぐ近くに建設される予定です。新駅が出来るとしたら同じ場所ですので、このあたりの経済が活性化されると予想されます。ところでスマート新駅というのは普通の駅とちがうのでしょうか。今後の動向も気になるところです。
ここ数か月に限っては、海老名を除いて収益物件の販売数は増えています。価格はまだ高止まりしており横ばい傾向です。ただ、高止まりというのも10年くらい前と比較すると高い(利回りが低くなった)ということで、今の価格で需給が安定しているのであれば、今から考えると10年前が安かった、のであって今の価格は適正である、と言えるかもしれません。同じ10%の利回りの物件であっても、立地や建物の状態、入居者属性など、様々な考慮要素の中から、将来性を鑑みてどの物件を選ぶか、より目利き力が必要です。