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株式会社西田コーポレーションNISHIDA BLOG「女性の活用」に潜む「成長の種」について

「女性の活用」に潜む「成長の種」について

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「女性の活用」に潜む「成長の種」について

 今年の夏は台風や大雨などの被害が多く被災された方には気の毒だったのですが、そのぶん秋が早く訪れ、爽やかな風が街を吹き抜けるようになっています。

 八月は全世界的に夏休みということで政治の世界では一時休止のような状況となっていましたが、いよいよ今月からはいろんなことが動き出すようです。その筆頭にあげられるのが、第二次安倍内閣の改造組閣で、なにしろ「女性の活躍」を成長戦略のひとつに掲げている安倍政権のこと、女性が多く登用された人事となることが予測されています。

 この「女性の活躍」。具体的には、すべての企業が2020年までに管理職の女性比率を30%とすることを目標とするもので、各企業にはこの数値達成への努力が求められることになっています。「女性の活躍」を掲げる理由ははっきりしています。少子高齢化が進み、生産労働人口は減少するばかり。そのため、性別問わず有能な人材を採用し活用していかなければ、厳しい競争の時代に企業が成長していくのは難しいからです。  この背景についてはよくよく理解しているつもりです。女性の活躍については経営者としても大賛成です。ところが、現実を目の当たりにすると一筋縄ではいかないことがよくわかります。

 毎日私のところには、我が社のスタッフたちが個人的な相談にやって来てくれます。仕事上の連絡から結婚、出産、病気などの一身上の報告まで、ありとあらゆることが持ち込まれてきます。今年の夏は特に女性スタッフが多く私の部屋に足を運んでくれて、嬉しい報告をしてくれたものです。

 曰く、「このたび結婚します」、「赤ちゃんができました」、「彼の転勤についていきます」…次から次へと人生上の一大事が持ち込まれ、そのたびにおめでとうとお祝いの言葉を口にする日々。よかったよかったと喜ぶ一方で、会社側としては彼女達のこうした「変化」によってもたらされる一時的な穴を埋めるための人事に頭を悩ませることになります。

 あちらの部署の辻褄をなんとか合わせたと思ったら、今度はこちらの部署での編成作業が待っているという具合で、なんとなく落ち着かない八月となってしまいました。

 人事作業を行いながら、私はつくづくと思ったものです。

 日本では、会社で仕事を通して経験を積みながら、個人の職業能力を高めていくのが一般的です。徐々に責任のある仕事を任され、共に仕事をする仲間の数を増やしながら、係長、課長、部長…という階段を上っていきます。このしくみは「リーダーシップ・パイプライン」と呼ばれていますが、結婚、出産、子育てを経験する女性は、このパイプラインからの途中下車や再乗車、再途中下車、再々乗車を繰り返さねばならないために、ラインそのものになかなか乗れないのです。ここに日本の企業に女性管理職が少ない一因があります。
 女性も男性と同じようにパイプラインに乗せて、管理職のスタッフを作っていくにはどうしたらいいのでしょうか。

 日本はこれまで仕事中心の男社会で成長してきましたが、このままでは管理職を希望する女性は限られてくると思います。従来のしくみでは「管理職の女性比率30%」の目標には、とうてい届かないのではないでしょうか。

 私の理想は、男社会に順応した女性管理職を作り出すことではありません。すべてを後回しにし、私生活を犠牲にして仕事に猛進するモーレツ女性スタッフを生み出すことではありません。

 結婚し出産し子育てを行い、これを両立させながら、仕事でも高い能力を発揮してくれる「ロールモデル」となり得る女性管理職を数多く輩出したいのです。若い女性スタッフたちが憧れ、自分もあのようになりたいと目標にできるような存在が欲しいのです。このような存在を作り出していくためにはどうしたらいいのでしょうか。

 わかっているのは、今まで通りのやり方ではだめだということです。女性の「働きやすさ」を第一に考えた業務改善とシステム作りが、不可欠となってくるということです。どうしても労働時間の多さでカバーしようと考えるこれまでの姿勢から脱却し、新しい視点から仕事の仕方を構築し直すことが必要となってきます。

 政府の報告によると、一部企業に「一年間かけて女性の活躍を推進する」という勧告を行い実践したところ、予想に反して逆にその企業の利益率が上がったという結果が出たそうです。これは、女性が活躍できるように業務の見直しを行い、「仕事のムダやムラ」を是正したため結果的に効率が上がったと考えられます。

 つまり、女性が働きやすい業務システムを考えるということは、会社全体の成長に大きく寄与するということになります。

 では、具体的にはどうしたらいいのか。その手始めとして、まずは女性スタッフだけで構成する店舗を作ってはどうかと私は考えています。  通常期、繁忙期を問わず、定時になれば終業し、残業を一切しないということを前提とする店舗を作るのです。そうして、限られた時間のなかで働いても工夫をすればきちんとした結果が出せるということが証明できるようなパイロット店舗としたいと思っています。

 成長を見据えた将来のことを考えると、こんな試みを行う意義は多いにあると思います。
 われわれの業務は、地域に根ざしたサービス業です。

 住まいを探されるお客様に、不動産をお持ちのオーナー様に、さまざまなお話をうかがい丁寧にアドバイスを行っていく…そんな業務には、実は男性より女性のほうが向いているとかねてから思っています。

 その女性の潜在能力を無駄にしないためにも、これから一歩ずつ「女性の活躍」の地盤を作っていきたいと思っています。

 初めての試みなので、さまざまな試行錯誤が必要になってくると思います。困難が数多く立ちふさがる道ですが、明日のために将来のために取り組まなければと考えています。

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