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母の「第三の人生」

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母の「第三の人生」

 「人生わずか50年」…人生の短さを、昔の人はそう言ったものです。
 ところが、戦後の混乱期から飽食の時代を経て日本人の寿命は飛躍的に伸び、人生80年、90年時代に入って久しくなりました。
 「第二の人生」…定年後の悠々自適の生活をセカンドライフと呼ぶことはよく知られていますが、最近は「第三の人生」という言葉を耳にすることが多くなってきました。「第三の人生」…サードライフとは、セカンドライフの先にある何らかの形で支援が必要な老後の生活のことで、寿命が延びるということはサードライフの期間が伸びるということになります。

 かくいう私も90歳の一人暮らしの母を持つ身。母はこの歳でもしっかりと自立して、炊事・洗濯・掃除はもとより趣味にも情熱を傾ける若々しい日々を送ってはいるのですが、そろそろ施設に入ってもらったほうが家族も安心ではないかということになってきました。
 子どもたちの間で意見がまとまったところで、はっと気が付きました。母の面倒を見てくれる施設がどこにあるのか、数ある施設のなかから母にぴったりの場所をどうやって選べばいいのか、どこの施設が評判がいいのか、どこに入所すれば母も私たちも納得できるのか、さっぱり見当が付かないのです。さらには、そんな疑問にきちんと答えてくれる機関でさえも思い当たりません。

 そこで私は弊社が昨年5月にスタートさせた「サードライフ~あつぎ高齢者住宅紹介センター」のことに思い当たりました。「第三の人生」をそのまま事業名とした新しい部署ですが、それにしても代表取締役の身で自社のサービスを利用するのは気恥ずかしいものがあります。ですが背に腹は代えられません。とにかく相談してみることにしました。
 このサービス、私としてはそのしくみや内容については熟知しているつもりでした。ところが、経営者として事業内容を知るのと、お客として実際にサービスを利用するのとでは天と地ほどに差があることに気づきました。やはり本当に受け手として利用してみないと、そのサービスの良し悪しはわからないものです。
 「サードライフ~あつぎ高齢者住宅紹介センター」の相談は、まず介護が必要な当事者とその家族の様子を詳しくヒアリングすることからスタートしました。いつもの生活習慣から自立の程度、介護が必要かどうか、さらには趣味まで、こんなことがと思われるようなことも丁寧に聞いてくれます。
 これをもとに何件かの候補となる高齢者向け施設を紹介してくれましたが、その紹介の仕方がまたいいのです。「この施設はこんな特徴がある」、「この施設はこんな評判で入居している人はこんな人が多い」などのこちらが欲しい情報を、こと細かく丁寧に説明してくれるのです。そして施設の見学にも立ち会ってくれ、さらには入居の手続きまでフォローしてくれるという面倒見の良さ。しかもそれらのサービスがすべて無料だというのです(これは私が関係者だからではなく、どんなお客様も無料でこのサービスが受けられるのです)。
 いくつかの施設を見学しお世話をしてくれるスタッフとの面談なども含めながら、母にぴったりの趣味活動の充実した、仲間とのおしゃべりが楽しめるような明るい施設を選ぶことにしました。親を預けるのですから、とりわけ安全面でのサポートやスタッフの対応など施設自体の信頼性も求められますが、そこは厳しい審査をクリアした施設だけを紹介している「サードライフ」ですから、大船に乗ったような気分で安心して母をお願いすることができました。

 さて、とうとう入居当日。この期に及んでも、まだまだ一人暮らしで大丈夫と呟く母をなんとかなだめて車に乗せ、施設へと向かいました。新しい環境にちゃんと馴染んでくれるだろうかという気持ちを抱きながら帰ったのですが、翌日には入居後の母の様子についての報告がありました。なんでも最初は「こんな所に連れてきて」と不満を口にしていたらしいのですが、食事どきになると早速おしゃべりのできる仲間と出会ったらしく、二日目には新しい生活が刺激的で楽しくてたまらない様子へと変わったそうです。
 そうして私は母のことで安堵すると同時に、入居後の報告まで定期的にしてくれるこのサービスに感動してしまったものです。
 昨年5月にこの事業がスタートしたときには、この「高齢者に施設や住まいを無料でご紹介するサービス」というのは、われわれ不動産業の企業にとっては言葉が悪いながら「付録」のような位置づけだったのです。われわれの目はその先にある空き家となった家の有効活用や相続対策などに向いていて、このサービスそのものの位置づけが低かったように思われます。
 それが、1年半ばかり経つ間に立派に成長して、お客様に心から喜んでもらえる事業へと成長していました。まさにこれは我々が目指す「地域の皆様に貢献する」ことをそのまま表したようなサービスで、大げさな表現をすると、弊社が目指す方向を示唆する事業となっているではありませんか。

 母が新しい「第三の人生」を喜んでくれたのも嬉しかったのですが、私としては、加えてこの新事業の成長ぶりが特別嬉しかったことをここに記しておきたいと思います。

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