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秋の夜長の社内勉強会

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秋の夜長の社内勉強会

 夕暮れともなると西の空が朱赤色に染まり、日本らしい風情を感じる秋の頃となりました。

 秋といえば、芸術、趣味、勉学、スポーツ、行楽…と続くのが一般的ですが、私が今いちばん関心があるのは「勉強会」、それも社員全員が参加して行う「社内勉強会」です。

 これを有効に活用していくことで、大きな船のような企業の歩む先を少しでもいい方向に持っていけるのではないか、そう思っている今日この頃です。  かつては手漕ぎ舟のような風情だった我が社が、現在では乗組員130名を超える大所帯となってきています。一人一人に会社の理念を徹底させて「意識」や「良識」、「スキル」をきちんと育て、さらにそれがうまく機能できるように態勢を整えていかないことには、予期せぬ方向へと進んでざかねません。

 私が「社内勉強会」へと心を向ける背景には、あるお客様からのご不満のご連絡でした。

 「随分前にお願いしたことに返答がない」
 そのお客様はこうおっしゃるのです。『ある仕事を依頼してから1ヶ月、何の音沙汰もない。仕方なく問い合わせの連絡を入れてみると、「申し訳ありません、すぐに対処します」とのこと。ところが、それからさらに数週間待ったが未だに何の連絡もない』とこういうことなのです。

 私は驚きあきれて早速この一件を調査させましたが、調べてみるとちゃんと各部署の担当者が関わって動いていることがわかりました。ある人は担当部署に連絡し、ある人はそれに従って見積もりを行い、ある人は別の部署に作業依頼を行いと、全員が仕事に向き合い行動してはいるのです。

 ところが、お客様からの依頼事項が複数あったこともあり、これらをまとめてお客様にご報告する人がいなかった、ということらしいのです。
 その結果、お客様には大変なご迷惑をおかけしてしまいました。

 では、こんなことが二度と起こらないためにはどうしたらいいのか。
 そこで総務部長と相談を重ね、この案件をテーマに「社内勉強会」を開くことにしました。総務部長もかねてより気になっていたという事もあり、この機会に社員全員でこの問題に向かい合おうということになりました。トップダウン形式で社長の私が指示するのではなく、社員みんなに考えてもらおうというわけです。

 こうして、10月の下旬、内容の濃い勉強会が開催されました。社員からは、反省点や様々な改善案、他の事柄への気づき、業務方法への要望などが盛んに出されたようです。

 このような事態は、当初から予測されたことでした。
 たとえば物件の管理で考えてみると、持ち主のオーナー様にとっては物件のあちこちに不具合が出たということで、まとまったひとつの業務依頼です。ところが、これを当社に持って返ってきてみると、あの件はここが担当で、これについてはここが担当ということになり、複数の担当部署の間で責任の所在があいまいになる。…組織が大きくなった結果の弊害として、容易に考えられたことでした。
 だが、私はこれを組織の大きさのせいにはしたくないのです。

 あえて言えば、企業が大所帯となりスタッフが増えたがゆえに、他のことに気を取られるようになり、「お客様目線」というもっとも大事な視点がおろそかになってきたのではないかと思うのです。

 逆を言うと、どんなに仲間が増えても、組織が複雑になってきても、「お客様目線」を第一に考えている限り、このような事件は起こらないはずだと考えるのです。

 全員がお客様のほうを向いて仕事をしている限り、どこかの段階で誰かが気づいてきちんと対処できたはずです。
 仕事の流れを変えたり、手順を整えたりするだけでは同じようなミスが起こってしまいます。このいちばん大事な視点を全員が共有するということが、なにより大事なのです。だからこそ、私は挨拶がきちっと出来、他者への気遣いができるよう、当たり前の水準を上げようと言い続けてきたのです。社内の組織の信頼関係や一体感を築こうとしてきたのです。

 お客様の数が増え、仕事の数も増えてきました。

 もう一度、「お客様からの要望にはすぐに応える」というサービス業の原則に立ち返り、
 「あそこはどんなことでもすぐに対応してくれる」、「とにかくきちんとレスポンスが帰ってくる」と評価をいただくことが、われわれの仕事の基本姿勢ではないかと強く思うのです。

 秋の夜長の勉強会は、まだまだ続くようです。

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