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諦めないことと信頼感と

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諦めないことと信頼感と

 雨の多かった八月が終わり、九月の声を聞く頃となりました。

 目の前の出来事に追われ日々忙しく暮らしている私たちは、ついこの間のことは忘れがちです。まさに光陰矢の如しの感があります。ですが、いつまでも忘れたくない素晴らしいこと、折に触れて思い出して日々の糧としたい出来事というものがあります。

 85日に開催され、21日に終了した2016年開催のオリンピックリオデジャネイロ大会での日本選手の目覚ましい活躍がそれに当たります。

 

 開催当初は、無事に開催されるのだろうか、テロなどが起こらないだろうかという治安面の不安ばかりが大きかったのですが、蓋を開けてみると大きなトラブルもなく、ほっと胸をなで下ろしていたところで耳に飛び込んでくる日本選手たちの活躍。それはもう目を見張るほどで、わくわくドキドキの16日間が夢のように過ぎていきました。

 その一試合一試合は実に劇的で、ドラマを見ているような興奮と高揚感がありました。切磋琢磨し死力を尽くしながらもあと一歩届かないといったところで終盤となり、もうだめかと思った途端に信じられない逆転劇が到来し、見事勝利を手にする。激戦を制した選手が、緊張から解放されると同時に喜びに包まれるときの表情。そうしてコーチが駆け寄り、抱き合って嬉し涙を流す瞬間。試合に凝縮された素晴らしい展開に感動の連続でした。

 

 それにしても、今回の日本選手の活躍は見事でした。

 逆転での金メダルをものにした体操男子団体に始まり、全階級でのメダル獲得を実現した柔道男子、日本史上初のメダルに輝いた卓球男子とバドミントン女子ダブルス、執念で銅メダルを手にした卓球女子団体、水泳800mリレー男子、念願のメダルを奪還したシンクロナイズドスイミング、金メダル4個と銀メダル 1個を手にしたレスリング女子、そうしてあのボルトと共に走ってこれまた史上初の銀メダルに輝いた男子陸上400mリレー……枚挙にいとまがありません。

 特に印象に残ったのが、最後まで諦めず最後の最後で大逆転して得た勝利の多かったこと。ここで力尽きて終わってしまうのが今までのオリンピックだったのですが、なんと今回は追い上げて逆転して見事メダルを獲得する試合が目白押し。最後の五秒で形勢を覆す勝利まで飛び出て、本当にしびれてしまいました。

 

 しかしながら、なぜこんなに最後の最後で勝利をつかめる試合が続いたのか、なぜこんなに打たれ強く諦めない心が育ったのか、そこのところに私は興味を持ちました。

 その答えは、選手へのインタビューのなかにありました。勝利を手にした選手たちは口々に言うのです。「コーチのためになんとしてもメダルをとりたかった」「コーチがここまで育ててくれたおかげです」「メダルをコーチにかけてあげたい」勝った喜びを口にする前にコーチへの感謝の言葉が出てくるこの信頼感と一体感こそが、これら勝利の背景にあったのです。

 選手にこんなことを口にさせるためには、指導者側に並大抵ではない努力があったことは明白です。シンクロナイズドスイミングの名コーチ、井村さんは一日 12時間にも及ぶ猛特訓を課し、自らも合宿所に宿泊して、食事から睡眠に至るまで徹底した指導を行ったと伝えられます。その熱意と一生懸命さ。それが伝わるから、選手も地獄のトレーニングに絶え、手にしたメダルを真っ先にコーチの肩にかけてあげたいと語るのです。

 ここには企業を運営する者として、学ばなければいけない真理があります。

 これほどの熱意を持って部下やスタッフに接すれば、必ずやその熱意は相手に届き、どんな困難なことも乗り越えられるはずです。それくらいの一体感が得られるほど果たしてわれわれは「選手」たちに接しているだろうか。

 何より大事なのは、導く側と導かれる側が絶対的に信頼し合っていくことです。信頼のもとにリーダーとプレイヤーが一体感を持ち物事に立ち向かっていけば、どんなことでもできるのです。

 ひとつの目標を掲げたら、それに向かってリーダーはこれ以上はないという熱意で部下を引っ張っていかなくてはなりません。そこから一体感と信頼感が生まれ、共に成功を喜び合える。そんな企業にならなければならないと、表彰式の画像を見ながら切に思いました。

 大切なことを教わった2016年のオリンピックになりました。

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