全国的な地価上昇の影響
土地の評価額を算定する際の基礎となる「公示地価」が3月27日に国土交通省から公表されました。都市部は依然上昇傾向を維持し、地方の商業地でもバブル期以 来26年ぶりなるプラスに転じました。地価の上昇は経済にとって好影響をもたらす面もありますが、そのまま税負担の増加にもつながります。
公示地価は、全国2万5千の地点を定めて不動産鑑定士が調査を行い、今年1月1日時点での土地の価格を算出したものです。不動産が売買される際の市場価格に影響しますが、それだけでなく税金にも大きく関わってきます。例えば各市町村が3年ごとに発表する「固定資産税路線価」は、毎年の固定資産税の算定基準となるものですが、基となっているのは公示地価です。今年は3年ごとの「評価替え」の年でもあり、全国的な地価上昇によって今年分からの固定資産税の負担増が予想されます。
さらに公示地価を目安に国税庁が毎年7月に「相続税路線価」を発表します。相続税路線価はおおよそ公示地価の8割程度と言われ、この価額を基に相続税額が決定されます。公示地価が上昇するということは、相続税額が増加することを意味します。同じ土地でもその時の公示地価によって相続財産としての評価額が変わってきます。
相続税対策として現金預金等を不動産に変えて引き継ぐという形もよく用いられます。現金預金は10割評価であるのに対し、土地は数割減、宅地などであれば半額以下で評価される場合もあるので「不動産は相続税対策の王道」とよばれています。しかし最近では、「公示地価」の変動が全国的に大きく、買う土地の選択も節税にあたってのおおきな要素となっています。税負担と今後の地価動向のバランスを見据えて、上手に土地を選ぶことが求められています。
岡 実 税理士プロフィール
岡税務会計事務所 所長
税理士登録 | 昭和58年3月 |
所属 | 東京税理士会 蒲田支部 |
TEL | 03-3735-3820 |
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