幸せを追求する年に
あけましておめでとうございます。
今年も新しい年が巡ってきました。
すぐ眺められる地に住んでいながらなかなか仰ぎ見ることの少ない富士山ですが、一年のうち正月の数日だけは、走っている車の窓から、久しぶりに訪ねた母の家の庭から、遠くその姿を西の方角に探します。
今年も澄み切った空の向こうに、清々しく冴える勇姿を眺めることができました。山という自然が作り出した造形に過ぎないのに、眺めるだけで感動が広がり心が引き締まる思いがするのは不思議です。その素晴らしい姿を遠目に見ながら、生きていることの喜びと新しい年を迎える嬉しさを心に刻んだことでした。
亥の年の企業目標
では、与えられたこの一年をどう生きていけばいいのか。何を目標に、どう切り拓いていけばいいのか。私は自分自身に問いかけます。
個人的なことでは、月並みながら健康に留意しながら一日一日を大切に歩んでいく、というシンプルな答えがすぐさま脳裏に浮かんできます。
しかし経営者としてとなると、腕組みをし、目を閉じて熟考しなければなりません。
二回目の安倍政権が発足した当初、そうしてトランプ政権がスタートしたばかりの頃から比べると、不安定な要素ばかりが目立ってきて、なかなか大きな目標が掲げられない現実が目の前に立ちはだかってきています。オリンピックは近づいてきているものの、少子化と人口減、人手不足がすべての歩みを鈍らせ、これまでの発想が通用しない状況となってきています。
そんななかで、私が今年掲げたいのが「幸せの追求」です。
少し不思議な目標ですが、これこそがこれからの企業を支えていくのではないかと考えています。
幸せがつくるもの
では、幸せの追求とは何か。
それは、まず当社で働く人たちが、この会社で働いていて良かったと心から思えるような企業を作り上げていくということです。
いじめやハラスメントとは無縁の互いが互いを尊重し合う企業風土を持ち、努力がきちんと評価され、やり甲斐が感じられる企業となっていくことです。
疲れ切った顔で仕事をしていては、質の高いサービスを提供し、お客様に満足していただくことはできません。
スタッフひとりひとりが幸せを感じてこそ、良い仕事というものは実現できるのです。
全員で解決する価値
その手始めとして、昨年末から社員の残業に対する徹底フォローを始めてみました。
残業を減らしていくことは、幸せを実現していくための第一歩です。人は休んでこそ、働いていく活力が出てくるものです。
ところが、目の前の仕事を何としても終わらせたいと考えることから、ついつい一時間二時間と仕事を続けてしまいます。いくら口で残業を控えるように言っても、なかなか実行に移せない現実がそこにあります。
そこで昨年末より、残業しているスタッフがいる限り管理職は退社しないという取り組みを始めました。業務が時間内に終わらないなら、改善点を考える。それができない場合は、上司が自ら仕事を手伝う、ということを決めたのです。これは画期的な方法で、みるみる間に成果が見え始め、社内の照明が早い時間から消え始めました。
ひとりが各人の力だけで残業を減らそうとしても、無理な話なのです。みんなで力を合わせて取り組まなければ、この問題は乗り越えてはいけないのです。
全員が努力して、全員で早く帰宅する。これは、ひとつの幸せの形だと思います。
この取り組みを契機に、今年はみんなの幸せへの取り組みに全力を傾けたいと考えています。
日本全体が小さい社会への変革を余儀なくされてきています。
外を見ながら成長を目指してきた日本の企業が、内なるものに目を向け、内なるものから成長の足がかりをつかむ。そんな新しい時代がやってきていることを感じている今年の初めです。