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NISHIDA
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時間の速度と密度

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時間の速度と密度

 先月末に発表された政府の経済報告では、1月の景気判断は「緩やかに回復している」状態が続いていて、これで景気回復の期間が74ヶ月となり、あの「いざなぎ景気」を抜いて「戦後最長」となったとのことでした。 

 なんとも実感の伴わない言葉ですが、この状況のことをある経済アナリストが「戦後最長だが最弱の好景気」と表現していて、うまいことを言うなとこちらは実感を持って聞いたものです。 

 なにしろ、国民の意識はいまだにデフレがずっと続いているようなマインドで節約志向が浸透し、これを受けて企業のほうも増収増益を出しにくい状況が続いています。こんな様子では大胆な方針など打ち出せるわけもなく、私などは野球でいうと攻撃ではなくずっと守備をやっているような気分で、仕事に取り組んでいるという心境です。 

平坦な時と時間の速さ

 そんな昨今、あるお客様とお話しする機会があり、時間についての話題になりました。 

 「最近、一年の過ぎるのが早くて早くて、やはり年のせいですかね」 

 と語る私に対して、私と同世代のこの方は意外なことを口にしました。 

 「それはね、変化がなくなってきたからですよ。山もなく谷もなく平坦な時間を過ごしているから、早く感じるんです」 

 そう言って微笑まれましたが、私はこの言葉に衝撃を受けました。 

 言われてみれば図星なのです。 

 若い頃は仕事でもプライベートでも、出会いがあって挑戦があり失敗があって挫折がありと、実に変化に富んでいました。ああでもないこうでもないと悩み、一方でドキドキワクワクして密度の濃い一年を過ごしていました。 

 ところがいまは、安全第一でトライすることを避け、景気がこれ以上減速してきたらどうしようかとハラハラすることはあっても、心躍るような経験をすることがほとんどありません。 

 これは経営者としては、あまり良いとは言いがたい状況です。 

ドキドキワクワクの大切さ

 経営者に必要なのは、やはり物事の幸先をキャッチするアンテナです。 

 これはいけるんじゃないか、今度はこれにチャレンジしてみよう。そんなことを感じることのできる好感度のレーダーが必要なのです。 

 アンテナやレーダーをちゃんと磨いておかなければ、チャンスをチャンスと思わず、みすみす逃してしまいかねません。 

 ではどうすれば、磨くことができるのか。 

 それはやはり、日々の生活のなかでドキドキワクワクすることではないかと思います。 

 たとえば仕事を離れたプライベートの分野でも、心ときめくような、びっくりするような、ゾクゾクするような、手に汗握るような、そんな何かを持つことではないかと考えます。 

密度をあげて速度を下げること

 いつになっても、何歳になっても、感度良好で好奇心いっぱいの人間であることが、経営者には特に大切なのでしょう。 

 私も何かに夢中になって、山あり谷ありの内容の濃い、変化に富んだ一年を今年こそは過ごしたいと考えています。 

 そう思いながら、感度を上げてワクワクできるものを捜索中の私です。 

 11ヶ月先の師走には、今年はいろいろあったなあと越し方を振り返りたいものです。2019年はなんとしても光陰矢のごとき一年にはするものかと、如月の今日、決意を新たにしています。 

 

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