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株式会社西田コーポレーションNISHIDA BLOG人生100年時代に いちばん大切なこと

人生100年時代に いちばん大切なこと

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人生100年時代に  いちばん大切なこと

 「人生100年時代」の到来が叫ばれ、長い人生を生きていくことが当たり前の社会となりつつあります。
 生きている時間が長くなって楽しいことが増え、ゆとりを持って人生が楽しめるようになるというのは、大変にありがたいことです。
 楽しく豊かな老後というのは誰でも理想とするところですが、私たちもそんな高齢期の住まいに関するお手伝いをしたいと考え、6年前に「サードライフ相談室」という事業を立ち上げました。これは、賃貸住宅にとどまらず有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅などを、専門のアドバイザーが利用者の状況やご家族の希望を考慮してご紹介するというもので、利用されたお客様から大変好評いただいて現在に至っています。
 超高齢化となってきた社会のお役に立てばとの思いで行っている事業ではありますが、しかしながらビジネスとして行っている性質上、どうしても制限が出てきます。本当はこうしてさしあげたい、こんな毎日を過ごしていただきたいと思いながらも、条件が整わず諦めていただかなければならない場合も出てきます。
 このような現況を踏まえて平成29年10月には、高齢者や障害を持たれる方、母子家庭など住宅の確保に配慮が必要な方々の住まい探しを援助する「民間住宅を活用した住宅セーフティネット」制度が国土交通省主導でスタートしましたが、まだまだ充分には機能していないというのが現状です。

理想と現実の狭間で

そんな最中(さなか)にも、高齢者の方が住まい探しにご来店されることは頻繁にあり、保証人がいない…、年金支給額が低い…などの理由で、賃貸住宅などのご紹介をお断りせざるを得ない状況が続いています。
 接客カウンターで民間の賃貸住宅では対応できませんと伝えられ、肩を落として帰られていく年老いた背中を目にしてしまうと、申し訳なさと不甲斐なさとに胸が締め付けられる思いがします。本当は力になりたいのに、それができない悔しさ。そして同時に、ビジネスとして高齢者の住まい探しをサポートしていくことに限界を感じてしまうのも事実です。
 これでいいんだろうかと考えつつも、事業としてのスタイルは守っていかなければならないというジレンマ。思い起こせば、もうずっとそのもどかしい思いを抱えてきたように思います。

高齢者の住をめぐる現実

 先日、ある有力な政治家の方に高齢者をめぐる住まいの現状についてご説明する機会を得ました。
 これは、私が関わっている日本賃貸住宅管理協会という団体にお問い合わせがあり、現在の高齢者と住まいに関する状況を知りたいという経緯があってのことでした。というのも、東日本大震災から8年が経過したというのに、仮設住宅から出て行けない人が多く、そのほとんどが高齢者であることに同氏は現状把握の必要性を感じたとのことでした。
 テレビのニュース番組などでお顔を拝見することの多い同氏ですが、実際にご本人と会ってみると、温厚な雰囲気に謙虚な物腰、丁寧にメモをとる様子は誠実そのもので、高齢者の住宅事情という放ってはおけない問題に関心を持ってくださるところに政治家としての誠意を感じました。
 その同氏に対して、高齢者の住宅受け入れをめぐる問題点や住宅セーフティネットの利用状況、保証人の問題、滞納時の家賃保証体制、病気の場合の対応、ひいては遺品整理に関するまで、こと細かに説明申し上げ、ありのままの現状をお伝えしました。彼は何度も頷きながら、細部にわたって質問を投げかけて確認するといったことを繰り返されて、しっかりと状況をご理解いただけたものと確信しています。
 最後に自由な意見を求められ、私はやはり民間事業としての対策だけでは高齢者の住居問題は解決していかないことを訴え、行政による取り組みの重要性をお願いしました。私一人の意見でどう変わるということはないと思うのですが、長年考えてきたことを実際の内閣に名を連ねる政治家の耳に入れることができたことは、大変嬉しく感じました。
 そうして、すべての弱者に対する姿勢の根底には「我がこととして」捉える姿勢が何より大事だという私の持論を申し上げ、このことには共感をいただいて短い説明会は終了となりました。

 

人生の最終章を美しく描く

高齢者の方々は、長い間世の中のために貢献してこられた方ばかりです。
 一人一人が置かれた場所で、精一杯の努力を続けてこられた方々です。それを、年を取って動けなくなったから、病気になったからといって、邪魔者のように扱うことはあってはならないことです。
 長くなった人生の最後は、やはり誰からも大切にされ、いたわられ、深い尊敬の念を持って介護やお世話を受けられるようであらねばならないと思います。
 そのためには、相手のことを我が身のこととして捉える視点が、世の中の一人一人に不可欠だと思います。

 人生100年を、希望を持ってワクワクしながら待ち受ける。そんな豊かな社会のなかで、私も100歳のその日を迎えてみたいものだと思います。

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