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NISHIDA
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コロナ渦中の入社式

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コロナ渦中の入社式
 一年のうちでもっとも華やぐ4月がやってきました。
 桜の花が咲き乱れ、新小学1年生たちが大きなランドセルを揺らせて歩き、新しく中高生となった人たちの真新しい制服姿も初々しく、大人の社会では出会いと別れが繰り返されて、心新たに第一歩から歩き出す。そんな春の姿が、今年は一変してしまいました。いったい誰がこんな事態を想像していたでしょう。週末の街は閑散。ありとあらゆるイベントが中止。ドラッグストアの前には長い列。そうして手元のスマートフォンで伝えられてくるコロナ関連のニュース。そのニュースも想像を超える恐ろしさです。
米国の感染者は3月末の段階で12万人。4月末までの全米での行動自粛要請が出され、イタリアの死者は1万人以上。英国では首相から保健相、皇太子に至るまで感染…。国内航空各社は大幅減便を決定。自動車メーカーは国内外で軒並み工場停止。多種多様な企業が従業員の解雇もしくは休業を決定して、リーマンショック時をはるかに超える事態となっています。
 ここまでどこか他人事だった新型コロナウイルスの脅威ですが、ここにきて自分自身が、自分の家族が、自分の仕事の仲間が、そうして自分の会社そのものが生存の危機にさらされるのではないかという恐怖が、じわじわとわき上がってきています。

世の中の空気が変わる

 その大きな潮目となったのが、人気コメディアンの訃報。その日、とうとう東京都の感染者数が360人を突破し、これはいよいよまずいのではないかと思い始めたところに届いた悲しい知らせでした。テレビでよく見る人が、ついこの間まで画面のなかで笑っていた人が、感染し重篤となり、あっという間にお亡くなりになったという衝撃的な事実に、世の中の空気は一変したように思います。
 思えば、2月上旬は横浜港に停泊した大型クルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号の乗船者が集団感染していることがわかり、この乗客たちをどうするかで全世界的な議論が巻き起こっていました。その頃はまだ、新型ウイルスはインフルエンザと同類で、過度に怖れる必要はないと思われていました。ところが、3月になると遠いヨーロッパで猛威をふるい始め、あれよあれよという間に医療崩壊に陥る国が出てきて、これを追うように米国でも感染者が爆発的に増え、世界の様子が変わってしまいました。
 それでも日本ではなぜか感染者数が少なく死亡例も他国に比べれば抑え込まれている印象があり、いろいろ騒がれてはいるものの自分は大丈夫なのではないかという根拠ない自信を皆が持っていたように思います。そこに流れてきた全国感染者1800人という数字と、著名人の訃報。これは本当に近くで起こっていて、本当に怖いことなのだと、はっきりわかってしまった日でした。


グローバル化の恩恵と痛みと

 怖いのは罹患の怖れだけではありません。この状況が続けば、どの企業も業績は悪化。未曾有の大不況となってしまいます。
 これに対して政府は前代未聞の大型財政出動を行っていますが、これがどこまで膨らむのか空恐ろしくなってきます。誰もが知りたいのは、この猛威がいつまで続くのかということなのですが、今回はそれに対する答えを誰も持っていず、見通しさえも見出せていないのです。
 目に見えないほど微小なウイルスに、全世界がおびえる。世界のグローバル化という諸刃の剣がかくも恐ろしい事態を引き起こし、人間だけではなく経済も打ちのめすのだという事実を、改めて思い知らされる昨今となっています。


異例づくしの入社式

 世間では卒業式の簡素化、卒業旅行も自粛、挙げ句の果てには採用取り消しを言い渡される人も出たりで、大学卒業とコロナ騒ぎが重なった若者たちは気の毒このうえありません。新社会人としてこれから羽ばたこうという時期に、コロナウイルスに足元をすくわれた感じで、心が折れてしまう人も出てくるのではないかと心配しています。
 思い返せばここ数年は、人材不足で新入社員の確保に頭を悩ませていた我々です。今年は当社では8人の内定者を確保できたところでの、この騒ぎ。きっと彼らも不安を例年よりさらに胸いっぱいにしての入社となったはずです。迎える我々の側としても、入社式を行ったほうがいいのか、止めるべきなのか、迷いに迷いました。結局、いつもはスタッフ全員が参加して行うところを最小限の参加者に絞り、入社の8人もそれぞれ十分に距離をとっていただき、なるべく時間を短くしてという異例の式となりました。恒例となっている全スタッフとのハイタッチは中止。式の後の懇親会も中止です。そんな状態でしたが、4月1日に予定通り入社式を行いました。

 

脅威と育成と覚悟と

 そんななかで、どうやったらこの若い人たちに安全と安心を維持しながら働いてもらえるのか。どう不安を和らげながら、一人前のスタッフへと育てていけばいいのか。いつもとは異なる、未知なる脅威と戦いながらの第一歩を、我々も歩み出したところです。この早くも辛酸をなめている若い人たちに、心からの笑顔が見られる日が来ることを夢見ながら、未経験の戦いを、日々考えたり、変更したりしながら続けていかなければと覚悟を固めているところです。

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