相続前後の預金引き出し

銀行の預金口座は、本人が死去した後は原則として、遺産分割協議が整うまでは身内であっても引き出すことはできません。しかし実際は亡くなったことが銀行に伝わらないうちに引き出しや振り込みは普通に行われていました。
そして2019年の民法改正により、現在は遺産分割前の引き出しは法的にも認められるようになり、それぞれの相続人は各自の法定相続分の一定割合を他の相続人の同意なく単独で引き出せるようになりました。なお、引出額の上限は1つの金融機関当たり1人150万円までとなっています。
課税の面からみれば、死亡した被相続人の預貯金は相続税の対象となる財産ですが、仮に死亡直前に多額の預金が口座から引き出され、それが妥当な目的で使われていれば、その分は相続財産には含まれません。しかし、相続前後の預金引き出しで問題となるのは相続人の間での揉め事の種になることが多いので、多額の預金を動かすのであれば、相続人全員の了承を得て行うようにしたいところです。
岡 実 税理士プロフィール
岡税務会計事務所 所長税理士登録 | 昭和58年3月 |
所属 | 東京税理士会 蒲田支部 |
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