相続税、暦年贈与の廃止へ
2019年に相続税を支払った人は、相続全体の8.3%で、東京都にかぎると16.3%に上り、6人に1人が相続税の課税対象となったことになります。そして相続財産を減らすために生前贈与しておくのが暦年贈与という制度で、110万円までは課税されないため、長年にわたり小まめに資産を移動しておけば、相当な節税効果を発揮します。
その暦年贈与が、大幅に縮小または廃止される可能性が高くなっています。昨年末の税制改正大綱で、相続税と贈与税を一本化することで、贈与税を実質的に廃止することを示しています。大綱で触れられている「諸外国」に目を向けると一本化され税負担は一定、資産移転の時期には中立となっています。アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスでも相続税と贈与税が統合されています。
今年の税制改正では、格差をなくすという大義の下、諸外国の制度を参考にしつつ、暦年贈与という節税策が使えなくなることを想定しておかなければならないでしょう。かつての自民党税制調査会会長は「資産課税は時間をかけて国際標準にそろえる必要がある」と発言しています。暦年贈与の廃止または大幅な縮小は、ほぼ確定路線とみていいのではないでしょうか。
岡 実 税理士プロフィール
岡税務会計事務所 所長税理士登録 | 昭和58年3月 |
所属 | 東京税理士会 蒲田支部 |
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