頑張ることとチームワーク

クリスマスツリーの灯りが華やかな師走の頃となりました。2021年もあと1ヶ月で幕を閉じようとしています。
とはいえ、まだまだ世界はコロナ禍の最中にあり、新しい変異ウイルスのオミクロン株も広がりを見せていて、油断ならない年末となっています。
そんな中で日本政府は先月末にいち早く全世界からの外国人入国の原則停止を実施しました。WHOからは批判を受けたこの措置ですが、私としてはスピーディな対応に、なかなかやるなと見直してしまいました。前政権の対応が後手に回わり、沢山の自宅待機陽性者が出て大変な事態となったことを踏まえての決断でしょうが、各方面からの圧力にもかかわらず素早く我が道を行くやり方に、いつもの日本とは違うなと感心したものです。
どん底からの這い上がり
先月にはまた感動的な出来事もありました。
相撲の照ノ富士が二場所連続での優勝を決め、堂々たる横綱としての姿を我々に見せてくれたことです。
この力士は大関になった頃から、外国出身にもかかわらず美しい相撲を取る人だなと注目していたのですが、怪我や病気が続いて序二段まで落ち込み、これで終わりかと誰も思っていたところ、そこからの這い上がりを見せて横綱まで昇り詰めるという史上初の快挙を達成した人物です。
階級社会の相撲界で落ちに落ちてプライドがズタズタになったであろうに、そこから歯を食いしばって奮闘していった精神力には、あっぱれの言葉を捧げたくなります。
どうすればそんな強い自分になれるのか、どうすればくじけずに頑張れるのか、そこのところを是非尋ねて我々の仕事に活かしたいと思うのですが、そんなことを考えるのはどうも私だけのようです。
多様と個人重視の風のなかで
このようなスポーツ界での快挙をたとえ話に出すということが、どうにも暖簾に腕押しのような感じになってきているのが昨今です。
多様化と個人重視、パワハラを避けようとする風潮、そのうえにコロナによるコミュニケーションの欠如が加わって、素晴らしい成果がひとりの人物の特殊な出来事となり、各人のモチベーションを押し上げるスイッチになりにくい状況になっているように思います。
私としては、そうか、そんなことができるのなら我々もという意識で奮い立って欲しいと思うのですが、「人は人、自分は自分」、「頑張るではなく、頑張らないを合言葉に生きよう」というコンセンサスが皆の間で主流となってきていて、なんだか経営者としてとてもやりにくい社会になってきています。
それでいて、若い人たちを見ていると、満足していると言いながらも心のなかは揺れ動き、実に頼りなげで危なげで、こんな様子でいい訳はないと、経営者となって46年になる私は思うのです。
企業人であるメリット
コロナ禍だろうが、リモート作業だろうが、企業の基本は同じです。
企業とは、人と人とが力を合わせてひとつの目標を達成していく集団です。皆で話し合い、協力し合い、足りないところは補い合って努力していく。そこに喜びと楽しさがあり、皆で支え合っていることからくる安心感があります。それがあるから、困ったとき、悩んだときに一人ではないと感じられ、時には助け船を出して皆の力を借りながらなんとか乗り切って行くことができるのです。そのことを若い人には、コロナ禍でもちゃんと体で覚えていって欲しいと思います。
そのためには、身近に優秀で思いやりのあるリーダーがいることが不可欠で、これからの世の中、そのような人材がとても重要になってくることが明白です。リーダーがお手本となって、努力する喜びや協力し合う大切さを示していくことが必要になってきます。
頑張る素晴らしさと皆で仕事をする楽しさ。この企業活動の基本をしっかりと押さえた経営をしたいと考えながら、新しい年を迎える準備をします。