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座禅と工藤元監督

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座禅と工藤元監督

 あちらこちらで紫陽花が美しく咲き乱れる季節になってきました。新型コロナウイルスの感染法上の分類も5類となって、まずは一息です。
 先月は業界団体の研修旅行で、青葉の季節の京都に出かけてきました。そこでちょっと首をひねるような出来事がありました。
 旅行代理店を通じて京都中心部のホテルを人数分取ってもらったのですが、土曜日の宿泊ということで宿泊費は少し高めの2人1部屋7万円とのことでした。それで納得していたのですが、出発の日が近づくと代理店から連絡が入り、一泊料金が10万円に変更されるとのことでした。
 私はあ然としてしまいました。一度決めた契約が後から金額変更になるなどというのは、われわれの常識では考えられないことです。
 外国人観光客が増えてきて海外式の料金体系でも導入されたのか、はたまたAIが需要と供給を秤にかけた狡猾な価格設定数式でも考え出したのか、いずれにしてもなんだか騙されたような気がしながら新幹線で向かいました。



自分と向き合い自分を知る

 研修場所を京都にしたのには訳があります。由緒正しいお寺にて座禅を組み、多くのスタッフたちを束ねる経営者の立場として、心身を鍛えようという趣旨があったからです。
 実を申せば、私は座禅と聞くと尻込みしてしまうほうです。以前鎌倉で座禅を組んだとき、足は痛く、早く終わらないかなという煩悩が頭を駆け巡るという具合で、どうにも苦手意識がぬぐえませんでした。
 今回また同じ目に遭うのかと、おそるおそる東山の高台寺に向かいました。高台寺は秀吉の正妻であった北政所が秀吉の冥福を祈るために建立した寺院だそうで、京都らしい典雅なお寺でした。
 そこでいざ座禅を組み始めたのですが、なんと椅子に座ったままでよいとお坊さんに言われました。そうして、何も無理して無我になる必要はない。ただ鼻で深く呼吸をし、自分の呼吸に集中せよ。そうすれば、欲がひとつひとつ消えてゆくと言われて、実践してみた次第です。
 平常とは異なる静かな時間が流れて、終わってみるとたかが宿泊料ごときでイライラしていた自分がとても小さく感じられ、すごすごと厚木まで帰って来ました。



笑顔がもたらす恩恵

 さて、それから数日後に今度は横浜に場所を移して別の団体の総会に参加しました。
 そこでは工藤公康氏を招いての記念講演があり、ご自身の監督経験で培った組織論などについてのお話がありました。これがユーモアも交えた素晴らしい講演で、すっかり感激してしまいました。
 そうしてその後の懇談会で間近にその姿を拝見し言葉も交わしたのですが、なんと卓越した人物なのだろうとの感慨を持ちました。
 なにしろ現役時代、監督時代にあれだけの結果を出した人物なのに、おごり高ぶる様子はまったくなく、明るく、腰低く、気持ちが丸くて、どんな人の話にも耳を傾け、われわれの下手なジョークにもにこやかに笑ってくださる。
 公康氏には5人のお子さんがあり、ご長男は俳優の工藤阿須加さん、ご長女は5月末に開催されたゴルフトーナメントで優勝したばかりの工藤遥加プロと、それぞれが活躍しておられて羨ましいばかりの境遇です。それでも決しておごることなく、謙虚そのものでした。
 同時にご家族との絆を大切にしておられ、どうしたらこのように大きさと寛容さを兼ね備えた人物になれるのだろうかと憧れにも似た思いを持ったものでした。


 座禅で己の小ささに気づき、卓越した人物と接することで、今以上の高みと深みを目指す。良い刺激を受けて、心身ともに充実した日々が送れていることに、謙虚に感謝したいと思います。

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