前を向いて愚かにひたすらに

風薫る5月。日本では、トランプ関税をめぐっての日米交渉の進捗状況が連日報道されています。
そのアメリカのロサンゼルスに、先月の17日から22日まで出かけてきました。目的は関連会社の今後の事業展開を見据えての視察と勉強です。
この会社は、香港を舞台に日本の安全な食を提供する目的で設立したもので、地道な努力の結果、現在では香港で数多くの小売店舗を持つまでになってきています。
ロサンゼルスでは、この関連会社の設立当初からの役員である人と、その彼の友人がいろいろと案内やお世話をしてくれました。
広大な土地とスケールの大きさ
到着してすぐに案内されたのが、ロサンゼルスの海を見渡せるビューポイントです。
アメリカは国土面積が日本の約25倍、カリフォルニア州だけでも日本を超えるという驚くべきスケールです。その広大な地から眺める海というのはこれまたビッグスケールで、水平線の端は丸くカーブしています。
「どうです、この景色。地球は丸いのがここに来ればわかりますよね」と、役員の彼。この方は日系アメリカ人で米国育ち。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)出身で、われわれの仲間として役員を引き受けてくれています。
そのUCLAにも案内してくれて、広大な場所で自由に将来の夢を描くアグレッシブな空気に圧倒されてしまいました。
自由とチャレンジ精神と
現地では彼の友人の方も3日間付き合ってくれましたが、この方は学生時代にロサンゼルスに留学し、アメリカという国の自由さ、豊かさ、チャレンジ精神にほれ込んで、そのままアメリカで暮らしているという人物です。
カリフォルニア州のGDPが日本のGDPを上回っているという、その規模、事業力、投資力…やはり、アメリカは世界一の経済大国なのだと再認識した次第です。
その大きなスケールをバックボーンに、大きな夢に向かってチャレンジする機運。日本にはないものだとつくづく思いました。
愚かなほどにひとつにのめり込む
さて、とてつもないスケールに驚愕しながらも、この旅のなかでひとつの言葉を心に刻みました。
いまのわれわれの生活の基盤を作り、歴史を変える技術を開発し、現在の巨大企業アップル社の礎を築いたスティーブ・ジョブズの「愚かであれ」という言葉です。
ひとつのことを心に決めたら、どんな困難に直面しても愚かにひたすらに努力を続けていけば、やがて道は拓けてくる…。
ジョブズは2005年にカリフォルニア州にあるスタンフォード大学の卒業式でこれを卒業生たちへのメッセージとしたことが知られていますが、実はUCLAの卒業式でも同じ内容のスピーチをしたのだということを、今回初めて知りました。
その話を聞きながら、私はわれわれがこのアメリカの地に立つまでに歩んできた道のりのことを思い返していました。
歩み続けるということ
この会社を香港でスタートさせたとき、当初は実に厳しいものがありました。飲食関連の小売業ですから、売り値が数百円の商品を一個ずつ売っていくわけですが、これでちゃんとした利益が出るまで一体どれくらいの年月がかかるのだろうかと気が遠くなったものでした。
ですが、会社の理念に向かって一途にここまでやってきました。その結果、少しずつ成果が出てきて、そうして今回とうとう米国での出店を検討しようかというところまできたのです。
思い返せば、まさにジョブズの言うように愚かなくらい、この事業にのめりこんできたからこその現在であるわけです。
ロサンゼルスに来たからにはと、最後にドジャースタジアムに行きましたが、ここでわが関連会社が店を開く夢をみなで語り合いました。
それも、いまでは確信をもって言うことができます。愚かなほどに夢中になれば、かならず成功できるはずだと。
決してくじけない意志
ひとつの夢を追い続けるということで、思い出した人がいます。
3月30日のレディーストーナメントでツアー初勝利を飾った工藤遥加選手です。
プロテスト合格から15年目での初勝利。ひたすらに、決してくじけず目標に向かって努力したからこその結果だと思います。
大きなプレッシャーのなかで、前を向いて頑張っていくことの大切さ。昨年末にも、目標はと聞かれた際に「レギュラーツアーで優勝すること」と即座に答えるひたむきさ。
工藤選手にエールを送りながら、私自身も愚直にひたすらに物事に取り組まなければと思っています。