遺言を信託銀行に依頼する場合の注意点

昨年、「信託銀行に遺言の執行を頼んでいたが、申告期限が1ヶ月を切ってから遺言執行ができないと言われ、相続税の支払いもできないのでどうしたらよいか」という相談を受けました。
遺言の内容は「預金等を解約してそれを分ける」という普通の内容でしたが、相続人の間に相続割合の差がありました。この差については相続人の間で話し合いが概略ついていたはずでしたが、相続割合で不利な内容の相続人が申告直前に話し合いを拒否。信託銀行は「相続人の間で争いがある場合」なので「遺言の執行ができない」というのです。
遺言は、相続分でなく相続人の間に差をつけるところに意味があり、相続人の間に争いが生じることを予測して作成されるので、相談者はどうしてできないのと相談された訳です。信託銀行は、遺言があっても相続人の間に争いがある場合は遺言執行者になれないことは意外に知られていません。信託銀行以外(弁護士など)の人に遺言執行者を頼むと、遺言執行者の権限で預金を解約し、これを分配してくれます。一次相続では皆協力をしてくれたが、二次相続(両親とも亡くなった場合)ともなると相続をまとめる人がいなくなり、皆に協力を求めるのが難しいケースがあるのです。
このように争いが予想される場合は、信託銀行に遺言を頼むことは注意したほうがよいケースもあります。遺言を書いたと安心されておられても、その内容や執行については法律の専門家にご相談されることをお薦めいたします。
山本弁護士プロフィール

山本安志法律事務所所長(所属弁護士=8名)
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簡易裁判所調停員 | |
相続アドバイザー | |
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