ブログ

NISHIDA
BLOG
株式会社西田コーポレーションNISHIDA BLOG静かなる「新しい局面」の春

静かなる「新しい局面」の春

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
静かなる「新しい局面」の春

 弥生三月となりました。
 長引く寒さに飽きがきて春はまだだろうかと誰もが焦がれるこの時期ですが、そんな世間の風をよそに不動産業界では例年三月は繁忙期のまっただなか、猫の手も借りたいほどの忙しさのさなかにあります。
 賃貸住宅を仲介する店舗はお客様でごった返し、電話はひっきりなしにかかってきて、上を下への大混乱。連日スタッフは血相を変えて走り回り 、日中の喧噪が終わったかと思うと、夜は夜でその日の事務作業をこなすために深夜まで灯りがともっている。経営者としては、社員になんとか頑張ってほしいと思う一方で、仕事が嫌になる新人スタッフが出るんじゃないかと考えてみたり、あまりに夜遅くまで仕事していると周囲から心配の声が出るのではと気をもんでみたりと、ハラハラドキドキの時期を過ごすことになります。

 それが、これまでの繁忙期の様子でした。
 ところが今年はどこか違うのです。いつもとは違って、なんとなく盛り上がらない。あの賃貸住宅の借り手も貸し手も仲介する側も、この時期になんとか方を付けようとして東奔西走する「熱気」が感じられないのです 。実に冷静かつ沈着な様相を全体的に示していて、経営者としては狐につままれたような気がしてきます。

 これはどういうことだろうと眉間にしわ寄せて営業会議に出てみると、 来店客数は順調、売上げも予定通りで、文句を言いたいところながら文句をつける要素が見当たらないといった具合いです。
 果たしてこれはどういうことなのか。長年の経験を経て業務手順が精査されスピーディに仕事が運ぶようになったのか、お客様の来店スケジュール管理の精度がアップして、お待たせしない対応ができるようになったのか、それともあれやこれやの要素がすべてプラスに作用して、冷静かつ確実に業務が進むようになったのか。
 そんな折りも折り、総務省が時を得たようなデータを公表しました。
 昨年行った国勢調査により、調査開始以来初めて日本の人口が減少に転じたというのです。なんでも総人口は1億2711万人で、五年前の調査時よ り94万7000人減ったということです。人口減少の正確な数字が国勢調査をみなければわからないという事実に唖然とする思いが沸き上がりましたが 、それには触れず「日本は人口減少の局面に入った」というのが総務省の見解でした。
 つまり、この静けさの背景にあるのは、人口減少の引き潮であるような のです。

 逆を言うと、人口減少のさなかにありながら例年と変わらぬ来店客数、 契約数を維持しているということは、引き潮に逆らってわれわれは善戦しているということになるようです。私たちが行ってきた方向性や戦略に間違いはなかったということで、そのことに自信を持って悠然と進めばいいということになります。
 そう、泰然としてゆったりとこの繁忙期を眺めていればいいらしいので す。
 それを自分に言い聞かせるのですが、あの繁忙期の店舗の混雑ぶり、カ ウンターに鈴なりになるお客様、けたたましいBGMのように鳴り響く電話音 、上着を引っ掛けて飛び出していく社員の慌てた表情などを懐かしく思い 、物足りなく感じてしまう私は時代の流れについていってないのでしょう か。
 「動」の時代から「静」の時代へと大きく変わっていっていることを、実感する今年の春です。


  ※「参考資料」2月26日 NHKニュースより(出典/NHK News Web) 「去年行った国勢調査によりますと、日本の人口は1億2711万47人 で、前回・5年前の調査と比べて94万7000人余り減りました。国勢 調査で人口が減少したのは調査開始以来初めてで、総務省は「日本は人口 減少の局面に入った」としています。 総務省が26日に発表した国勢調査の速報によりますと、去年10月1日 現在の日本の人口は1億2711万47人で、前回・5年前の調査と比べ て94万7305人、率にして0.7%減りました。 5年ごとに行われる国勢調査で日本の人口が減少したのは、96年前の大正9年に調査を始めてから今回が初めてです。 総務省は「外国人の増加など社会的な人口増加よりも、死亡者数が出生者 数を上回る自然減のほうが毎年大きいことが、一番の要因と考えられる。 日本は人口減少の局面に、はっきり入ったと言えるのではないか」として います。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加