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サザエさんが変わる日

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サザエさんが変わる日

 春一番の突風や季節外れの暖かさに振り回されているうちに弥生三月となり 、春の訪れを待ちわびる頃になってきました。三月といえば、われわれの業界 は繁忙期のまっただ中。新しい住まいを求める人が次々と来店される当社の各 営業店では、例年と変わらぬ慌ただしい風景が見られています。
 そんななか社会のニュースに目を向けると、このところの話題はあの東芝の 行く末に終始しています。黒字予想が一転して巨額の赤字に陥っていることが 判明したのも束の間、あれよあれよという間に損失額がふくらんで、債務超過 状態になってしまったのは先月のことです。やがて、稼ぎ頭である虎の子の半 導体部門の分社化が発表され、かつての家電大手企業は原子力事業と公共事業 だけしか残らないという、なんとも恐ろしいことになりそうです。
 私などは古い人間ですから、大学卒業時に東芝に就職の決まった仲間に対し て、「いいところに決まって良かったな。これで将来は安泰だ」などと祝福の 言葉をかけたことを思い出し、せつなくなってしまいました。また日本を代表 する企業のひとつが消えそうだという事実は、なんとも寂しいものです。

 東芝の一件では、経営者の誰もが会社を運営することの恐ろしさを肝に銘じ たに違いないと思います。判断を誤ったり、モラルハザードに陥ったりすると 、どんな大企業であっても、あっという間に傾いてしまうのだという事実を、 改めて認識させられました。大きな会社でも、こんな事態に陥るのです。小さ な企業の場合は、たちまちその存在は無きものとなってしまいます。会社の向 かう方向を誤ることなく、さらにスタッフひとりひとりの意識の向上とモラル の徹底に気を配りながら、なんとか現代の荒波の海を乗り切っていかなければ なりません。そのためには具体的にどうしたらいいのか、経営者の悩みは尽き ません。
 
 そんななか当社では、合宿研修と銘打った社内研究会を昨年の秋口から地道 に続けてきました。最初は幹部だけを集めての合宿研修を行い、年が明けてか らはその下のチーフ、店長クラスの中堅リーダーたちを集めて合宿研修を行い ました。箱根のとある旅館に座を移し、文字通り膝を突き合わせての研修会を 実施したのです。
 後輩たちをまとめながら営業の最前線で汗をかく彼らとは、日頃なかなかじ っくり話し合う機会はありません。会社の方針を幹部から言い渡され、目の前 に達成すべき目標を掲げられて、日々奮闘している彼らなのですが、合宿の結 果、実に清々しい顔になって、「目から鱗が落ちた気分です」「モヤモヤが晴れました」と口々に話してくれるのです。つまり、会社の求める目標を達成す ることと、部下たちをなんとか動かすこと、それでいてお客様の利益にかなう ような業務を行うこと…など、多くの縛りのなかでどうしても迷いが出てしま い、それが私とじっくり話すことで行くべき方向を再確認できたと、そういう ことのようです。
 お客様の利益にかなうような業務を丁寧に行っていき、できることからコツ コツと取り組んでいくことが、やがて数字となって返ってきて、おのずと会社 の求める目標に近づいてくるという、当たり前の流れを再認識できて、それぞ れが霧が晴れたような気分になり、翌日には繁忙期半ばの各部署へと戻ってい きました。その後ろ姿を見て、このような研修会の大切さをつくづくと感じた ことでした。

 私たちの会社は小さいながらも、土地、アパート、マンションに代表される お客様の大切な資産をお預かりし、賃貸、売却などの業務を行なって日々を暮 らしています。われわれを頼ってくださるお客様のためにも、あらゆることを 誤摩化さず、正面突破で歩んでいくしかないと思っています。
 かの東芝は、40年間続いた「サザエさん」のスポンサーを降板するのではと の噂も報じられています。長く続いた日曜日夕方の日本のお茶の間の風景が、 変わってしまう日も遠くないのかもしれません。
 その現実を胸に刻みながら、いま一度兜の緒を締め直して、着実に誠意を持 ってひとつひとつの仕事に取り組んでいきたいと改めて考えています。」

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