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仮想通貨の確定申告

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仮想通貨の確定申告

 1年でビットコインの価値が20倍ほどになったかと思えば、今年に入ってからは国内の取引所コインチェックから約580億円相当の通貨が流出するなど、最近は仮想通貨に関する話題に事かきません。仮想通貨の確定申告を今年初めてするという人も多いでしょうが税金面でも、株式などと比べても多くの相違点がありますので仮想通貨の確定申告について見ていきましょう。

 昨年9月に国税局より仮想通貨による収益は税法上の雑所得に当たることが示されまた。上場株式や投資信託などによる利益が譲渡所得や配当所得などに分類されているのとは異なり、FX(先物取引)などと同じ雑所得とされました。

 しかし同じ投資でもF Xと仮想通貨では大きな違いがあります。F Xには3年間の損失繰越控除が認められているのに対し、仮想通貨には同様の規定はありません。つまり、年をまたいだ損得は完全に別物扱いされました。

 例えば昨年末にビットコインで稼いだ利益を確定させ、1億円を手にしたとします。それを元手に別の仮想通貨を購入したが、年が明けてのコインチェック事件による下落などで1億円なくしてしまった場合。手元に納税資金が0になったにもかかわらず、所得税は前年に確定させた利益1億円全額にかかってしまいます。しかも損失繰越できないので、来年また1億円稼いでも、今年の損失と相殺することはできず、やはり1億円全額に税金が課されてしまいます(但し同年の仮想通貨同士の損益、他の雑所得との損益は通算可能)。さらに、分離課税で約20%の税率が課されるFXとは異なり、他の所得と合算した上で総合課税の累進税率が適用されます。仮想通貨で得た1億円の所得に課される税率は所得税と住民税を合わせて55%です。つまり半分以上は税金で持っていかれます。このように税制面では株式投資などと比べて大きなハンデを負っていることは認識しておきましょう。

 もう一つ覚えておきたいのは、換金したり他の仮想通貨に換えたり仮想通貨で何かを決済したりと、仮想通貨を使った時点で初めて所得が発生します。含み益の段階では、どれだけ儲けても課税はされませんので、換金化等するタイミングを選ぶことも税負担を抑える上では重要になりますので気をつけましょう。

岡 実 税理士プロフィール


岡税務会計事務所 所長

税理士登録  昭和58年3月
所属  東京税理士会 蒲田支部
TEL  03-3735-3820
E-mail  info@oka.zei-mu.com

 

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