遺言書作成の事情は様々

当事務所では遺言に関する事件は多いので、これに関する作成事情をお話しします。夫婦で遺言書を作成した方の一方が最近お亡くなり、その執行を行いました。遺言の執行にあたり、改めてご事情をお伺いすると、やはり、夫婦で築いた財産は、夫婦で引き継ぎたいとの気持ちは強いので、遺言を作成しておいてよかったと言われました。最近は、このような考えの方も多くなったと思います。
一方、妻と子供2人が相続人のケースで、相続財産の大半は家業を継いでくれる長男に引き継がせ、次男には次男所有の建物の敷地を渡したいとの希望で、遺言書の作成を依頼されました。しかし、もう一つの案として、相続財産の半分を妻に相続させると配偶者控除が使え、相続税の軽減ができるので、その内容の遺言も勧めました。ただ、今回の父親の相続では、次男には父親からの生前贈与の特別受益と、次男が所有する家の敷地は遺言で相続をさせる事情があり、当初案であれば、次男には遺留分に相当する財産や特別受益があり、父親の遺言によって将来の相続争いが防げることも説明しました。そして、相続税の軽減をとるか、死後の相続争いを防ぐか、選択してもらいました。
結局、遺言者は相続税の軽減より死後の相続争いを防ぐことを優先するとの回答があり、相続財産の大半は家業を継ぐ長男に相続させる当初案の遺言を作成しました。
このような配慮は、今、話題のAIでの遺言作成ではまだ難しいかと思います。しばらくは、法律専門職の弁護士に遺言の作成を頼むのが賢明かと思います。
山本弁護士プロフィール

山本安志法律事務所所長(所属弁護士=8名)
弁護士暦 | 43年 |
年齢 | 67歳 |
簡易裁判所調停員 | |
相続アドバイザー | |
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