トラブルを防ぐ賃貸の法令点検

PCB点検 期限迫る!対応必須
PCB(ポリ塩化ビフェニル)とは、人工的に作られた油状の化学物質で、かつては変圧器や安定器、コンデンサーなどの絶縁油として使用されてきました。しかし、「カネミ油症事件」などの中毒被害により人体への毒性が問題視され、1972年に製造・輸入・使用が中止されています。その後、2001年に環境省(旧:環境庁)によりPCB特別措置法が制定され、一般的なビルやマンションで使用されている「低濃度PCB」の除去が進められてきました。現在、PCBは2027年3月31日を期限に処理が義務付けられています。期限を過ぎても処分を行わない場合、改善命令の対象となるほか、届出を怠ると懲役や罰金が科される可能性があります。 
PCB点検を放置するリスク
PCBの法定点検を怠ると、不動産契約に影響が及ぶ可能性があります。例えば、2027年8月31日が契約満了日の賃貸物件で、設備にPCBが使用されていた場合、法律上、契約終了日は同年3月31日に前倒しされます。また、PCB除去工事の実施により、契約締結や入居開始のスケジュールに支障をきたすケースも想定されます。
点検は専門技術者への依頼が必須
ビルやマンションなどの賃貸物件では、変圧器やコンデンサー、遮断器などが、キュービクルと呼ばれる金属製の設備内に設置されています。PCB調査は、これらの設備を日常的に保守・点検している電気主任技術者などの専門家に依頼する必要があります。今後、期限が近づくにつれ、部品や人材の確保が難しくなることも予想されます。トラブルを避けるためにも、早めの検査と対応が重要です。
消防点検
人命に関わる設備、確実な定期点検を
①消防設備は定期点検と報告が義務
消防法では、消火器や屋内消火栓、スプリンクラー、自動火災報知設備、避難器具、誘導灯などの消防用設備について、適切に作動するかを確認するため「消防用設備等点検報告制度」を定めています。共同住宅や飲食店など、消防設備が設置されている建物では、定期的な点検と所轄消防署への報告が必要です。
②建物用途により点検・報告の頻度が異なる
飲食店や物品販売店などの「特定用途」、またはこれらの施設が入居する建物では年1回の点検・報告が求められます。一方、共同住宅や工場、倉庫、事務所などの「非特定用途」であっても、3年に1回の報告が義務付けられています。
③未報告は罰則の対象、専門家への依頼が安心
点検結果を報告しなかった場合、30万円以下の罰金または拘留が科される可能性があります。点検は所有者が行うことも可能ですが、消防庁では、消防設備士や消防設備点検資格者など専門家への依頼を推奨しています。消防設備の不具合は人命に直結するおそれがあるため、確実な点検と適切な管理が重要です。
貯水槽点検
水の安全を守る、所有者の重要な管理義務
①一定規模以上の貯水槽は法定検査が義務
神奈川県では、8㎥超の受水槽を持つ「小規模受水槽水道」や、10㎥超の「簡易専用水道」を設置している建物について、年1回以上の清掃と水道検査機関による法定検査が義務付けられています。貯水槽の管理は、水道法や県・市町村の条例に基づき、建物所有者の責任で行う必要があります。
②検査機関と罰則が定められている
法定検査は、厚生労働省健康局(簡易専用水道)や、市町村(小規模受水槽水道)が登録した水道検査機関によって実施されます。法定検査を受けなかった場合、100万円以下の罰金が科される可能性があります。
③管理不備は健康被害や契約トラブルにつながる
実際に県内では、貯水槽の管理不備が原因とみられる集団下痢症が発生した事例も報告されています。テナントが飲食店の場合、水質の低下は営業停止など深刻な影響を及ぼすおそれがあり、結果として契約トラブルに発展する可能性もあります。
法令点検と記録の保管は建物管理の基本
今回は、賃貸管理で押さえておきたい代表的な法令点検をご紹介しました。法令点検は、生命や安全に関わる不動産経営に欠かせない業務です。専門家の力を借りながら、確実な点検と記録の保管を行い、契約者からの信頼につなげましょう。特にPCB点検は、2027年3月31日が対応期限です。判定から処分・交換までには時間を要するため、早めの相談と対策が重要です。
NISHIDAでは、日頃の賃貸管理やオーナー様からのご相談を通じて、法令点検に関する最新情報や実務上の注意点を社内で共有しています。今回ご紹介した法令点検についても、内容や対応方法は物件ごとに異なります。点検の進め方や専門業者の選定などでお困りの際は、お気軽にご相談ください。オーナー様の状況に応じた対応を、スタッフが丁寧にサポートいたします。


