アンバランスな世界

ワールドカップで盛り上がっている最中のアメリカに、9日間の日程で出かけてきました。
とはいえ広いアメリカです。試合が開催される都市行きの飛行機に、タイミングを同じくして搭乗でもしない限りその実感は得られず、そこが広大なアメリカらしいという印象を持って帰国してきました。
国内時差と無人タクシーと
円安のこの時期にわざわざ渡米することになったのは、今年4月から私が賃貸住宅管理協会の会長職に就いているからで、まずはジャズで有名なニューオーリンズに飛ぶことになりました。そこでアメリカの住宅建築関係の企業が一堂に集まっての展示会が開催されており、日本の業界を代表して顔を出すことになったのです。
それが終わるとロサンジェルスまで行くことにしたのですが、この移動が大変で直行便はなくヒューストンまで行ってそこから乗り換えることに。国内での時差もあって、都市間の移動がまるで外国に行くようなスケール感です。
ロス訪問の目的は、身内が経営しているおむすびショップの一号店の視察のためです。もちろん、大谷選手たちの活躍も見てみたいとウキウキしながら市内に入りました。
車社会のロサンジェルスでは、前回渡米した時と同じように市内の移動にはインターネットを介して無人タクシーを利用します。これでどこへでも行くのですが、当初は戸惑いも多かった無人タクシーは、慣れてみると安全かつ確実でとても便利なものです。なんの心配もいらない模範運転のタクシーに導かれて、日本の将来もこうなるのだろうかと思いながらあちこちに出かけました。
物価の差が物語る国の力
さて、そのおむすび店なのですが、日本から取り寄せた米を使って提供する各種おむすびを一個1,000円で販売し、それが日本人ではなくアメリカ人に好評で、今後期待ができそうです。
それにしても、おむすびの価格は日本の3倍。アルバイトスタッフに払う賃金は時給3,000円で約2倍。私が出発前に購入したドジャースの試合チケットに至っては、日本のプロ野球試合の5倍ほどの価格でした。あまりの物価の差に、やはりため息が出てしまいました。ここまで価格に差があると、日本は大丈夫だろうかという不安に襲われてきます。
そんな状況で帰国しましたが、日本に戻ると狭い空間にたくさんの人がひしめいて、黙々と歩いています。建物はコンパクトで道路は清潔。こじんまりときれいな国という印象です。
誰もが真面目に働いて、だが賃金は安い。それぞれに不満は持っているものの爆発するほどではなく、ワールドカップの結果で幸せになったりがっかりしたりしています。
もっと豊かで、地道な努力がきちんと賃金として、または低い税金として還元される社会になってほしいと思うのですが、どうしたらいいのか私自身もわからずにいます。
見逃した大谷ソロ
対して、アメリカのドジャーススタジアムでは、アメリカ人たちが陽気に野球を生活を楽しんでいます。
全員が何万台も収容できる巨大な駐車場までゆったりと自家用車で駆けつけて、ビールを飲みながらプレーに酔いしれています。
私がロスで観戦したドジャースの試合では、山本選手がピッチに立ったものの2回に打たれて負け試合になっていました。試合終了まで見ていると、一斉に観客が引き上げて大渋滞になりホテルに戻るのが遅くなるだろうと、エンジョイしている観客を尻目に9回を待たずに球場を後にしました。日本人らしい先を見据えた“賢明な”判断です。
帰りの車の中で試合の進展を確認すると、チームは負けたものの最終回に大谷選手がソロホームランを打ったとのこと。やられたーと声が出ました。
ああもう少しいればよかった。なぜアメリカ人のように先を気にせず楽しむことができなかったのだろうか、折角ロスまで来ていたのに…。などなどと考えて、アメリカに来てもせせこましい日本人から抜け出せない我が身を、残念に思ったことでした。
もう一度、リベンジに出かけたい。出かけなければと、年甲斐もなく考えています。

