目指せ、筋肉体質

ある日のことです。
当社スタッフのAに確認したいことがあったので、Aの社用携帯電話に連絡を入れました。しかしながら呼び出せどもコール音が響くだけで、出る気配はありません。打ち合わせでもしていて出られないのだろうと私は考えます。
しばらくすると今度はBというスタッフに用事が出てきました。こちらも社用携帯にかけてみますが、同じく出ません。しばらくするとBからは折り返しの電話がありました。ところが、Aからは一時間経っても二時間経っても連絡がありません。しびれを切らして今度は会社の方にかけてみると、果たしてAは自分の席にいたらしく普通に電話口まで出てくるではありませんか。
たまたまこの人物だけが社用携帯に出ないのであれば、私としても我慢の仕様があります。ところが、このような沙汰は決して珍しいことではなく、電話をしても梨のつぶてということがよく散見されるのです。
私としては腸(はらわた)が煮え繰り返るような気持ちです。たまたま私が社内の人間だからよかったものの、お客様であったらどうなるのでしょう。いやお客様ではなかったとしても、会社のトップの人間が電話をかけてきているというのに連絡が取れないというのは、企業として果たしてどう考えればいいのでしょう。
携帯電話は便利な道具です。この普及のおかげでどれほど業務が効率化したかは、ここに述べるまでもないことです。ところが、便利さを享受するがゆえに本来のあるべき姿を見失ってしまうことがあるのではないかと、私は問いたいのです。便利なツールは有効に使うべきです。先の社用携帯に出ない件は、便利なツールを有効に使っていない典型例ではないでしょうか。
だからというわけではないのですが、先月よりある社内経費削減のエキスパート企業のアドバイスを取り入れることにしました。電話料金をはじめとする通信費から交通費、事務用品費、福利厚生費、交際接待費に至るまでありとあらゆる経費を客観的に判定し無駄なところは削って、それで浮いた経費のうちの一部をコンサルタント料として支払うという、まさに隙間的な新しいビジネスの企業です。この企業のいわば「他人の血」を入れることで、便利さのうえにあぐらをかくのではなく、会社全体が緊張感を持つようになればいいと考えています。
このようなコンサルタント企業を入れることは、社員にとってはちょっとした違和感があるかもしれませんが、何も意地悪をしているのではありません。スタッフ全員が、当たり前のことを当たり前にきちんと行っていくこと、基本に忠実に真摯に仕事に向き合っていくことを徹底してほしいだけです。
というのも、ここでも再三言っているように、日本社会はかつてない人口減の厳しい時代に入っているのです。人口というパイは小さくなってきているのに、そのなかで企業は自社を成長させていかなければなりません。そのためには、普通の努力を行っていたのでは目的は実現できていかないのです。
企業が成長していく過程で、少し余分な栄養を摂りすぎたのではないか。私はそう危惧しています。アットホームな企業を目指していく過程で、肉だけでなく甘いお菓子もついつい摂取し過ぎたようです。
お腹が突き出たメタボ体質では、これからの厳しい世の中は走り抜けていけません。無駄のないスリムで筋肉質な体質でコンパクトにスピーディに動かなければ、この逆境に打ち勝っていくことはできないのです。
このスリム作戦がひいては社員とお客様全員のメリットとなることを信じて、少し厳しく引き締めて行こうと考えている今日この頃です。


