風を読む努力

あれだけ毎日耳にしていた「コロナ」の言葉を、聞かなくなって久しくなりました。
人と会ったり会食をしたり、会合やセミナーに出かけたりという、以前と同じ刺激的な毎日が戻ってきて、心は実に晴れやかです。
そうして今日も、爽やかな秋晴れの空の下を都内のあちらこちらへと忙しく出かけています。
それにしても都心の人の多さには、驚くばかりです。
外国人観光客がそこここにあふれ、観光客とは関係のないビジネスエリアにも人が大勢行き来して、コロナ以前をしのぐような大変な活気です。
世の中ではインフレや円安の影響が心配されていますが、そんなものを一掃するような勢いを感じます。
肌で目で感じること
ところが用事を終えて地元厚木に戻ってくると、ちょっと頭をひねってしまいます。
都心ほどの活気はなく、なぜか街中に人は少なくて、あれっと思います。
おかしいな、本厚木駅の乗降者数も変わってないし、地元の不動産もよく動いてちょっとしたバブルの様相を呈しているというのに、我が目で見る街の姿にはいまひとつ活気がありません。
どこの地方都市でも見られるように、陽気が良くなって高齢の方々がのんびり歩く姿は目に入ってきますが、生産世代は意外と少なく、ランチを求めて歩く姿やせかせかとカバンを片手にどこかへ急ぐスーツ姿は減っているような気がします。
これはどういうことなのだろうと、腕組みをしてしまいます。
都心の勢いが波及する前なのか、それとも別の流れがあるのか、または両極化が進んでいるのか、私は昔から使っているアナログ式のアンテナを立てて周囲を見回します。
四方八方から吹く風
アンテナを立ててみると、風がいろんな方向から一気に吹いてきていることがわかります。
生成AIの技術がビジネスの世界に入り込んできて、業務の効率化が一気に進みつつあります。
一方で、少子化の影響を受けて慢性的な人手不足も不安要因として吹き込んできます。
原材料不足は少しずつ解消してきているとはいえ、長引くウクライナ戦争と米中対立が、以前のようにはいかないことを示唆しています。
と思ったら、今度はイスラエルとハマスの戦争が始まってしまい、これが中東全体に拡大しないとも限らない様相となっています。
かつては、地域でまたは国内で吹いていた風が、世界中から呼び込まれるようになってきて私のアンテナは世界相手では小さ過ぎるのではないかと思ってみたりします。
追い風に乗る未来
そんななかで風を読むのは、なかなかに至難の業です。
何が短期的な風なのか、単に吹き返しに過ぎないのか、大きくどこに向かっているのかを見定めなければなりません。
そうして、いち早くこれを読んでビジネスを展開する者が勝者となっていきます。
次代に伸びていく企業は、吹き荒れる洋上で帆を張り、うまく追い風に乗った企業ということになります。
風を読んで未来を切り拓いていくのは、これは大変な作業なのですが、それこそがビジネスの醍醐味で、体のなかからワクワクしてきます。
まだまだ、風を確かめることを楽しいと感じられています。
まだまだいけるぞと、心のなかで呟いています。