若さのアクセル、老いのブレーキ

日本国中がコメ問題で揺れている間に、暦は六月へと移ってきました。
気が付けばあちらこちらで紫陽花の花が目立つようになって、梅雨の時季がすぐそこまでやって来ていることを実感します。
そんななか、遠く四国から元気な人物が私を訪ねて来てくれました。
貪欲に仕事に取り組む
彼の年齢は60歳前後。30年ほど前に脱サラで不動産業に挑戦し、今では徳島県の地盤としているエリアで、賃貸住宅のシェアが50%以上というところまで自らの企業を成長させてきた人物です。
もともと型破りでエネルギッシュな性質の方なのですが、その元気ぶりは変わらず、代表取締役から会長へと退きながら、自社のシェア率をあと10%伸ばすためにはっぱをかけているとのことでした。
さらに話を聞いていると、ハワイに別荘を持ち、東京にもマンションを所有してと、成功物語を絵に描いたような様子。ゼロ同然から始まり、短い時間でここまで会社を大きくさせたその手腕に、こちらもエネルギーを分けてもらい、さらにまだまだ貪欲に歩もうとする姿に刺激を受けたような次第です。
感無量のパーティー
それからしばらくののちに、また別の人に会いに今度はこちらから足を運びました。
この方も以前から存じ上げている同世代の同業の方なのですが、長年の働きが評価されて叙勲を受けられ、それを祝うパーティーが開催されたのです。
これは大変おめでたいことで本人も受勲に感無量といった言葉を並べておられましたが、そこで会う馴染みの顔のなんと年老いてしまったことよと、別の意味で感無量になってしまいました。
元気と弱気のあいだで
考えてみると当然のことです。
50年近くも仕事を続けていると、周りがみんな年をとっていくことは当然なのですが、いつもはそのことを忘れて目の前の課題をクリアするのに四苦八苦しています。
やりたい仕事、なんとかしたい業務分野、もっと工夫したいこと…などなどが次から次へと出てきて普段は老けてなどいられるものかと自分自身に喝を入れているような状況なのですが、自らを客観的に眺めてみると、もはや若くはないのです。
つまり、頑張っているつもりでも、脳の働きの方がついてきてくれないということも、十分に考えられ…と、弱気な自分が顔を出してきます。
長き山道をひとり歩む
そんなわけで、まだまだ頑張りたいというアクセルと、いやいやもういいんじゃないかというブレーキを一緒に踏んでいるような状態で、これは以前は考えもしなかったことです。
なんとか周りに迷惑をかけないようにと考えながら、細い山道をひとり今日もハンドルを握って走っていきます。