2027年のLED蛍光灯・照明問題とは?

賃貸経営に影響する照明問題
暮らしや仕事に「照明」は欠かせません。特に蛍光灯は賃貸物件の居室や共用部、オフィスビルなどで広く使われています。しかし近年、蛍光灯の今後が懸念されるようになりました。2027年末までに一般照明用の蛍光灯の製造・輸出入が終了することが決まったためです。蛍光灯のストックがなくなると、ランニングコストや修繕費にも影響が出る可能性があります。そこで今回は、2027年問題の背景とLED照明のメリット・注意点についてご紹介します。環境問題を踏まえた世界の方針
一般照明用の蛍光灯が市場から姿を消す背景には、素材の水銀が人の健康や環境に与えるリスクへの世界的懸念があります。2010年前後から国際的な議論が何度も行われ、2023年スイス・ジュネーブで開かれた「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」で、蛍光ランプの製造・輸出入禁止が合意されました。
2030年までにLED化100%が目標

2028年からは一般照明用の蛍光灯の製造・輸出入ができなくなります。ただし、蛍光灯の使用自体は禁止されません。すでに設置されている蛍光灯はそのまま使用でき、交換用在庫があれば使い続けることも可能です。しかし、新たに製造されなくなる以上、いずれLED照明への切り替えは不可避です。 今後は在庫減少や物価高騰で蛍光灯の価格がさらに上昇すると予想されます。実際、メディア報道によれば2024年7月時点で蛍光灯の価格は前年比80%以上上昇しています。製造業における原材料費・物流費・人件費も上昇を続けており、さらなる値上げが懸念されます。こうしたコスト増は、不動産経営のランニングコスト上昇にも直結します。政府も2030年までに照明の100%LED化を目標としており、今後は計画的にLED照明へ移行することが求められます。
LED化のメリット
空室対策として物件の魅力に
明るい共用部は、内見時に好印象を与える重要なポイントです。廊下などをLED照明に切り替えることで、防犯性が高まり、不審者の侵入リスクも抑えられます。さらに外観・廊下・トイレに適した照明を選べば、安心感と物件の魅力を高められるでしょう。大規模オフィスビルでは電気代削減にもつながり、テナントにとって大きなメリットになります。
長寿命でメンテナンス費用を抑える
LED照明は寿命が約40,000時間と長く、交換回数を大幅に削減できます。紫外線を発しないため虫も寄り付きにくく、掃除の手間も軽減。結果として、メンテナンス負担やランニングコストの削減につながります。
省電力で経済的で環境貢献にも
LEDは蛍光灯に比べて約50〜60%省エネで電気代を削減できます。発熱が少ないため冷房効率も向上し、結果的にCO₂排出量を大幅に抑え、環境対策にも貢献します。
LED照明への交換の注意点は?
蛍光灯をLED化する方法には、大きく分けて3つあります。① 蛍光灯ランプをLEDランプに交換する方法
② 照明器具の安定器を外しバイパス工事後LEDランプに交換する方法
③ 照明器具ごと交換する方法
ただし、①や②の方法には注意が必要です。直管LEDランプと既存の照明器具の相性が悪いと、思わぬ事故につながる恐れがあります。また、②の安定器を外す工事をした場合、LEDランプの保証が受けられなくなるケースもあります。日本照明工業会では、安全性と保証の面から「照明器具ごとLED対応のものに交換する方法」を推奨していますが建物の状況に合わせた最善策を検討すると良いでしょう。
税制面への影響は事前に確認を
LED照明への交換工事は、内容によって修繕費として処理できる場合と、資本的支出(減価償却の対象)として扱われる場合があります。この区分は収支管理への記載に影響します。国税庁の見解では、安定器を伴う工事でも修繕費と認められるケースがありますが、分電盤の更新やビル全体の配線交換など、照明以外を含む大規模工事を同時に行う場合には、建物の資産価値を高める「グレードアップ」とみなされ、資本的支出となることがあります。取替工事の勘定項目で迷う場合は、事前に税理士へ相談しながら進めると安心です。照明のLED化は、単なる機器交換にとどまらず、税務処理や管理面でも手間がかかります。導入にあたっては、電気工事店・税理士・不動産会社など、その道の専門家へご相談ください。
最近、NISHIDAの管理物件でも、LED照明に関する対応が増えてきました。「シミュレーションを見たい」「どのタイミングでLEDに交換すればよいだろう」「交換を任せた場合の費用やランニングコストが知りたい」など、運用している物件の照明設備のLED化でお困りのことがあれば、まずはNISHIDAにご相談ください。

